白クマ
日医白クマ通信 No.1038
2008年11月7日(金)


定例記者会見
「裁判員制度の施行にあたって、最高裁判所長官、法務大臣らに申し入れ」
―羽生田俊常任理事

羽生田常任理事


 羽生田俊常任理事は、11月5日の定例記者会見で、来年5月から始まる裁判員制度の施行にあたり、森英介法務大臣らに制度実施以後に医療現場に混乱が起きないよう、申し入れを行ったことを明らかにした。

 日医ではこれまで、平成21年5月21日から実施が予定されている裁判員制度の周知依頼に協力してきたが、都道府県医師会や会員等からは、地域医療を担う医師・医療従事者が裁判員候補者として指名を受けた際に、患者の診療上、やむを得ず辞退する場合の申し出の可否や手続き等をめぐる種々の質問・要望が多く寄せられている。

 羽生田常任理事は、裁判員制度では、医療関係者も例外ではなく、原則として、指名されればこれに応じる必要があるため、医療提供に問題等が生ずる恐れがある場合も考えられることから、これを理由に辞退しなければならないケースが多数予想されることに言及。そのうえで、「地域住民の生命、安心・安全を担う医師・医療従事者の使命に鑑み、個別具体的な辞退申し出事由について、十分な理解を得るために、最高裁判所長官、法務大臣などに対して、文書で申し入れを行った」とその経緯を述べた。

 また、同常任理事は、医師・医療従事者が患者の診療上やむを得ず辞退を申し出る場合の取り扱いについて、(1)前年の12月頃、裁判員候補者名簿登載者に送付される「調査票」、(2)具体的な事件の裁判員候補者に裁判の約6週間前に送付される「質問票」、(3)裁判の当日に行われる選任手続き―等の局面において、辞退を申し出ることができるとし、裁判員候補者として指名された者が、当該事件を担当する裁判所に対して個別に辞退理由を説明し、裁判官によって辞退の可否が決定されることを改めて説明した。

 最後に、同常任理事は、都道府県医師会、関係団体等にも申し入れを行った旨を通知して、裁判員制度へのさらなる理解と協力を求めていくと述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会医事法制課 TEL:03−3946−2121(代)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.