白クマ
日医白クマ通信 No.1052
2008年11月26日(水)


第3回医療政策会議
「権丈委員が社会保障のあり方について講演」

第3回医療政策会議


 第3回医療政策会議(議長・田中滋慶大大学院教授)が、11月19日、日医会館で開催され、権丈善一委員(慶大商学部教授)が、諮問「経済成長と医療政策のあり方」に沿って、講演を行った。

 権丈委員は、まず、厚生労働省の医療費推計を取り上げ、「経済成長率が高い時に予測すれば141兆円(平成6年3月公表)になり、低い時に予測すれば65兆円(18年1月公表)になる」と説明。所得と医療費の増加率については、単年度では相関が見られないものの、過去6年間の所得増加率の平均と医療費の単年度増加率を見ると強い正相関が見られるとして、所得が医療費を決めることを強調した。

 社会保障のあり方については、OECD諸国30カ国のうち、租税社会保障負担が日本より低いのは韓国、トルコ、メキシコだけであることを挙げ、「総人口に占める65歳以上人口の割合を見ると、この3カ国はまだ若いが、高齢化が進んでいる日本に、これでやれというのは無理がある」と指摘した。

 また、「“大きな政府”か“小さな政府”かは、社会保障の大きさで決まるが、大きな政府である北欧が高い成長率を誇るなど、政府の大きさと経済成長率とに関係はない」として、小さな政府を目指してきた従来の方向を、大きな政府に変えるべきだと述べた。

 さらに、医療や介護などの社会保障政策を充実させることで、国民に安心感が生まれ、消費を促すとともに、富の再分配が図られるとして、その実現の手段として政府の利用価値を強調。積極的社会保障政策に向け、財源や税制のあり方について議論していくべきだとした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03−3946−2121(代)


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