白クマ
日医白クマ通信 No.1144
2009年6月5日(金)


定例記者会見
厚生労働省「最近の医療費の動向 平成21年1月号」及び「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 平成20年11月号」に対する見解
―中川常任理事

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、6月3日の定例記者会見で、厚生労働省が発表した、「最近の医療費の動向 平成21年1月号」及び「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 平成20年11月号」について、日医の見解を示した。

 同常任理事は、「最近の医療費の動向」から、2008年4月〜2009年1月の医療費総額(休日数等の補正後)の対前年同期比は全体で2.2%増、医科は1.4%増に止まったが、調剤医療費は5.9%増であると説明。受診延日数の対前年同期比が、医科入院外1.3%減、調剤2.3%増であるので、調剤医療費の伸びのうち数%分は、医薬分業の拡大によるものとの考察を示した。ただし、「最近の医療費の動向」では、医科入院外医療費中の薬剤料は明らかでないため、今後公表予定の「社会医療診療行為別調査」によって、医科医療費の増減の詳細を分析したいとの意向を示した。

 次に同常任理事は、「最近の医療費の動向」に示されている1日当たり調剤医療費は、処方せん1枚当たり調剤医療費のことであると説明。「処方せん1枚当たり調剤医療費=1日当たり薬剤料×処方せん1枚当たり処方日数」であるため、例えば長期投薬により1枚当たり処方日数が伸びると、1日当たり調剤医療費は増加することになると指摘した。また、処方せん1枚当たり調剤医療費が増加するケースとして、長期投薬の他、1枚の処方せんで処方される薬剤種類の増加、処方される薬剤単価の上昇などが要因とした。

 また、内服薬の1日当たり薬剤料の対前年同期比について、2007年度は2.9%増、2008年4月〜11月は3.0%減であったと説明。何もなければ2.9%上昇(自然増)していたと仮定すると、合計6.0%減少したことになり、2008年の薬価改定マイナス5.2%以上の下がり幅であると分析した。ただし、対前年同期比だけで比較すれば、2006年度の5.3%減までには落ち込んでいないので、引き続き注視したいとの考えを示した。

 一方、内服薬の投薬日数の対前年同期比について、2006年度には3.2%増で、10歳代でマイナスになった他は、年齢階級による大きな違いは見られなかったが、2008年4月〜11月は4.8%増であり、特に働き盛りの世代で5%を超える伸びを示していると指摘。休暇が取れないなどの雇用環境等の悪化により、若年世代で長期投薬の要望が高まっているのではないかとの推察を示した。さらに、内服薬の年齢階級別の投薬日数を見ても、35歳以上のすべての年齢階級で2週間以上、50歳以上では3週間以上になっており、急変時の対応が懸念される状況になっていることに警鐘を鳴らした。

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