白クマ
日医白クマ通信 No.1262
2010年3月16日(火)


定例記者会見
「平成20・21年度医師会共同利用施設検討委員会報告書まとまる」
―藤原常任理事

定例記者会見


 藤原常任理事は3月10日に記者会見を行い、医師会共同利用施設検討委員(委員長:篠原彰静岡県医師会副会長)の報告書の内容を説明した。

 医師会共同利用施設検討委員会に対する唐澤会長からの諮問は「地域社会における今後の医師会共同利用施設のあり方」であり、本報告書は2年間にわたり鋭意検討した結果、取りまとめられたものである。

 答申は、(1)はじめに、(2)医師会病院、(3)臨床検査・健診センター、(4)特定健診・特定保健指導、(5)訪問看護ステーション、(6)おわりに、から構成されており、参考資料として日医総研WP(抜粋)が付されている。 

 (2)では、医師会病院の設立の目的、その後の経緯について述べ、医師会病院を取り巻く環境が大きく様変わりし、その運営状況が極めて厳しいと報告している。今回行われた日医総研「地域医療を担う医師会病院等の運営課題把握のための研究」調査によると、医師会病院の財務状況悪化の要因として診療報酬の改定によるものとして、紹介外来加算の廃止、入院基本料の算定要件、リハビリテーション料の算定要件などが一因として挙げられている。こうした現状を鑑み、地域医療の中核として機能すべき医師会病院が存続していくためには、地域医療支援病院に対する紹介外来加算の復活、入院基本料の引き上げ、新医師臨床研修制度の大幅な見直しなどを早急に行うことを強く求めている。

 さらに、調査では、病床過剰地域の医師会病院が60(83.3%)、病床過剰でない地域の医師会病院が12(16.7%)となっており、それぞれの置かれている状況によって、今後の運営のあり方について再考する必要があると提言している。

 (3)では、医師会臨床検査・健診センターは、健康診査における競争入札、高額な健診システムにかかる更新費用、民間検査センターとの競合、会員利用率の低下等、様々な運営上の問題を抱えている。このような状況の中、既に取り組んでいる特定健診・特定保健指導への積極的な関与が、医師会共同利用施設としての存在と今後の事業展開に活路を見出すことができるのでは、と提案している。

 (5)では、人材不足と過重な業務負担の2課題の克服が急務であるとしている。訪問看護職員を確保するためには、待遇の改善、離職の防止は不可欠であり、そのためには、平成24年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けて、大幅な介護報酬引き上げを求めていく必要があると言及している。

 最後に、「地域社会における今後の医師会共同利用施設のあり方」として、医師会共同利用施設は、「連携と継続による地域医療体制の再構築」における中心的存在として活動すべきであるとし、医師会共同利用施設の公益性、地域で果たす役割の重要性を理解いただき、引き続き医師会共同利用施設が地域社会に貢献していけるような支援策をお願いしたいとまとめている。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL 03-3946-2121(代)
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