白クマ
日医白クマ通信 No.1272
2010年3月25日(木)


定例記者会見
介護保険委員会答申書「生活を支える医療を目指して」を唐澤会長に提出
―三上常任理事

定例記者会見


 三上裕司常任理事は、3月24日の定例記者会見で、介護保険委員会が唐澤会長からの諮問「地域完結型の医療・ケア体制をめざして」を2年間検討した結果、取りまとめた答申書「生活を支える医療を目指して」を、3月19日に野中博委員長から唐澤会長に提出したことを報告した。

 本委員会は、後期高齢者医療制度が始まった直後に発足し、介護療養型医療施設が平成23年度末に廃止されることが決まっていたため、「医療なき介護はありえない。生活支援を考えない医療もありえない。」という問題意識を持ち、やむなく病気や障害を抱えても、住み慣れた地域で安心して生活が続けられるように、医療と介護が切れ目なく提供される体制の構築を目指して検討が進められた。

 答申の内容は、日医が発表した2つの指針「日本医師会 高齢者医療と介護における地域医師会の取り組み指針(2004年11月2日)」、「在宅における医療・介護の提供体制−『かかりつけ医機能』の充実−指針(2007年1月 日本医師会)」に追加・補充して、地域の医師会の実践に役立てるほか、医師会員が 、かかりつけの医師として主治医意見書の記載に始まりケアマネジメントなど適切なケアプラン作成に関わるよう、地域での具体的な取り組みを抽出して提供している。

 そして、本答申のもう1つのポイントは、平成24年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた問題点について、より良い医療と介護を提供する観点から、優先度の高い1.要介護認定とケアマネジメントのあり方、2.退院調整と医療連携のあり方、3.訪問看護サービスの活用と強化の課題、4.地域包括支援センターの活用と医師会の関わり、5.認知症対策とネットワークの課題、6.介護保険三施設と医療提供体制の課題−の6項目に絞って、その課題と解決の方向性を示した。

 最後に、地域完結型の医療・ケア体制の実現には、介護保険でどこまで医療を提供するのか、医療保険ではどのように対応するのか、医療との関係を介護保険においても整理することが重要である。特に、介護保険の給付に一定の影響力を持っているケアマネジャーに対して、いかに医療に対する理解を得てもらうかが問われており、そのためには、主治医意見書を記載する医師が、ケアプラン作成に積極的に参画することが大切である。これは、サービス担当者会議等への参加だけではなく、様々なツールを用いて情報を共有することが原則となる。なかでも、病院からの退院に際した「退院調整カンファレンス」が、患者の生活を支えるために行われることを理解すれば、医療には「治す」という視点のほかに、「支える」という大切な目的も見えてくる。医師には、より良い医療と介護の実現のために、医療保険と介護保険を適切に活用することが求められていると結んでいる。

◆問い合わせ先:日本医師会介護保険課 TEL 03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒PDF(266KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.