白クマ
日医白クマ通信 No.1374
2011年1月13日(木)


定例記者会見
「医学部教育・初期臨床研修制度についての日医総研による聞き取り調査の結果を公表」
―石井常任理事

定例記者会見


 石井正三常任理事は1月12日の記者会見で、医学部教育・初期臨床研修制度についての改革案に向けた議論の前段階として、日医総研による聞き取り調査結果の骨子を公表した。

 日医総研の調査は、具体的な問題把握のため、都市と地方の両方で、大学、市中研修病院、地域医師会の各要職に当たる37人のキーパーソンに対して聞き取り調査を実施したもの。

 同常任理事は、今回の調査結果を、(1)医学部教育における臨床実習のライセンス化、(2)医師国家試験の臨床への集中、(3)初期臨床研修における初期対応力養成を基本とする柔軟なコース設計―の3つとして、日医総研が聞き取りを基にした改革案の柱として取りまとめたと説明した。

 (1)では、医学部教育について、十分な期間の臨床や参加型実習が不足しているという問題が指摘されており、改革案として、医学部5,6年生の臨床実習に進むために、医学生に臨床実習免許を取得する制度を設けることが提案されている。さらに日医に対しては、免許創設に対して、医学生全てを会員としてサポートし、医賠責保険を拡大して提供する仕組みをつくる考えも示された。

 (2)では、医師国家試験対策に追われ十分な臨床実習が行われない問題や現行の医師国家試験が十分に技能・態度を評価できていないという問題への指摘に、医学部教育における臨床実習のライセンス化と整合性をとるために、医師国家試験の「臨床への集中」が提案されている。

 (3)では、インタビュー調査において、初期臨床研修の到達目標に関するコンセンサスの中で、「鑑別診断能力と救命を含めた初期処置能力の獲得」を共通の目標として提案されている。この共通の到達目標が達成されるかぎり、2年間の初期臨床研修の柔軟なコース設計が可能になるとしている。

 石井常任理事は、「医学部教育・初期臨床研修制度は、一朝一夕に決まる話ではなく、法改正などの大きな合意形成の下に新しい制度が決められるものと考えている。そのため、早期の提案と広い議論が必要」との考えを述べ、今回の調査結果は、後日改めて日医総研のレポートとして公表する予定であるとした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合政策研究機構 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒PDF(96KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.