白クマ
日医白クマ通信 No.1383
2011年2月10日(木)


定例記者会見
「精神科救急医療体制整備事業費基準額の引き下げに対する見解」
―三上常任理事

定例記者会見


 三上裕司常任理事は、2月9日の定例記者会見で、昨年12月、平成23年度政府予算案における精神保健費等国庫負担補助金の「精神科救急医療体制整備事業」の基準額(案)が、厚生労働省から示されたことに対し、日医の見解を述べた。

 まず、本件については、政府予算案が、平成22年度では23億円であったのに対し、23年度では18億円と5億円の縮減となったことから、基準額の引き下げがなされたものであるが、日本医師会に対して何ら説明もないままに今回の措置がなされたことは、誠に遺憾であるとした。

 また、「不採算医療の象徴ともいえる救急医療のなかでも、特に、精神科救急は施設の整備が十分でないことに加え、精神疾患患者の増加により、各地域において対応に苦慮している」と、その実情を説明したうえで、このような状況のなか、病院群輪番制によって、あるいは常時精神科救急に対応している施設など、各地域でそれぞれの特性に応じて真摯に対応してきた医療機関に、さらなる負担を強いる今回の措置は、日医として断じて容認できないと問題視した。

 同常任理事は、仮にこれら補助金の執行率が今回の縮減に影響しているとしても、基準額(単価)そのものを引き下げる合理性はないとし、また、国庫補助率2分の1、すなわち地方財政が逼迫している状況下において、残りの2分の1を地方自治体が捻出しなければならないことが、執行率に影響しているとも考えられるとした。

 さらに、今回の措置が、精神疾患を持つ救急患者を受け入れている医療機関のうち、より多くの患者に対応している施設ほど強い影響を受けることを指摘し、地域医療崩壊が叫ばれるなか、これまで地域医療を守るために努力してきた医療現場のモチベーションを高める対応こそが国の施策として必要であるにも関わらず、まったく逆の影響が出ることが強く懸念されるとした。

 同常任理事は、社会保障としての医療を守るためには、地域医療提供体制の整備・拡充が不可欠であり、精神科救急医療体制の充実も不可欠な対応であることは言うまでもないとしたうえで、厚労省に対し猛省を促すとともに、個々の医療機関の前年度実績を踏まえた弾力的な基準額の運用、すなわち加算方式や段階的な基準額の設定などによって、精神科救急に貢献している医療機関に実質的な影響が及ばないような対応を強く求めていくとした。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第三課 TEL:03-3946-2121(代)
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