白クマ
日医白クマ通信 No.1523
2012年3月16日(金)


定例記者会見
福島県原子力災害からの復興に関するプロジェクト委員会答申
「原子力災害からの復旧・復興への道筋と提言」について
―石井正三常任理事

定例記者会見


 石井正三常任理事は、福島県原子力災害からの復興に関するプロジェクト委員会の答申を3月14日の記者会見で報告した。

 本プロジェクト委員会は、昨年6月16日付で谷雄三福島県医師会長並びに東北医師会連合会から、「原子力災害の賠償等に関する支援についての緊急要望」が、原中勝征会長宛に提出されたことを受け、要望に応えるため立ち上げられたものである。答申は、原中会長からの諮問「東京電力福島第一・第二原子力発電所事故によって会員医療機関が被った損害賠償と復旧・復興について」を受けて、3月11日に木田光一委員長(福島県医師会副会長)から原中勝征会長に提出された。

 答申の内容は、(1) 東京電力福島第一・第二原子力発電所災害に関する問題点・課題、(2) 東京電力への損害賠償請求等、(3) 各医師会の対応―についてそれぞれ分析した上で、1) 損害賠償に関する提言、2) 福島原子力発電所災害からの復旧・復興に関する提言、3) 福島県による地域医療再生に関する提言、そして4) 原子力発電所事故による災害対応に関する提言―がなされている。

 その中では、委員会委員と共に、調査研究スタッフとして日医総研が全面的に参画し、東京電力と損害賠償に関する交渉において、被害者にとって不利益な合意文書の撤回、また概算払いによる簡便請求についても実現に至った経緯なども記載されている。

 さらに、国に対する提言として、「国策として原子力政策を推進した国の責任分担」「国として地域コミュニティ再生のためのソフトな法制度設計と法制化」「避難した住民の帰還・定住の場等を国が責任を持って整備」「郡市区医師会協力のもと安全な生活環境づくりとしての先行的な公設民営型の仮設診療所の創設・運営」などを示している。

 石井正三常任理事は、提言の中で「安全・安心のためのナショナルセンターの設置」を取り上げ、「我々は医療提供者としての立場から述べているが、福島県民の疑問・不安は、医療に伴うものだけでなく、環境、植物、動物によるものなど様々であり、それらに応えて、住民が地域で安心して暮らせる環境を再建することが必要である。それらを取り戻すために、我々は出来るだけの協力をするつもりであり、そのためにも、住民の不安を払拭できるだけの、窓口の広いセンターが必要である」として、ナショナルセンターの必要性を訴えた。

◆問い合わせ先:日本医師会総合政策研究機構、年金・税制課 TEL:03-3946-2121(代)
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