白クマ
日医白クマ通信 No.1569
2012年7月30日(月)


第1回医療政策会議
会長諮問は「日本における社会保障のあり方―欧州の社会保障の比較・検証から―」

第1回医療政策会議


 日医の三大会議の一つである、医療政策会議の平成24・25年度第1回会合が7月20日、日医会館で開催された。

 石川広己常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、「社会保障と税の一体改革」について触れ、「『社会保障制度改革推進法案』の第6条には、『医療保険制度については、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図ること』とあるが、保険免責制の導入、あるいは、保険給付の範囲を制限して、混合診療を全面解禁しようとする意図が読み取れて油断が出来ない」と指摘。消費税やTPP参加など、さまざまな課題がある中で、地域密着型の医療提供体制を守りつつ医療・介護保険制度の将来像を構築するため、忌憚のない議論を要請した。

 その後、横倉会長が、議長に田中滋慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授、副議長に大久保吉修神奈川県医師会長を指名し、田中議長に諮問「日本における社会保障のあり方―欧州の社会保障の比較・検証から―」を手交した。

 田中議長は、「外部委員である私たちが議論するのは、日本の医療政策、社会保障政策にとって、日医のスタンスが国民のためになると信じているからである」と述べ、中立で客観的立場から活発に協議することを呼び掛けた。

 議事では諮問について自由討議が行われ、委員から、「日本の薬剤費比率は上昇しており、医療保険財政の圧迫を理由に混合診療の全面解禁も主張されるが、米国やOECD諸国では下がっている。ただし、TPPに参加した場合は、医薬品や医療機器の規制が緩和され、上がる可能性がある」「医療費財源について、海外はどうしているのか。日本の素晴らしい医療制度を守るために、しっかりとした基盤をつくる責任がわれわれにはある」「かつては西ヨーロッパ型の医療を取り入れて、急性期医療を中心に大病院などの改革が行われてきたが、高齢化により、地域医療は看取りまで含めた慢性期医療の比重が大きくなる。日本が最先端で経験する事態であって、モデルはないのではないか」などの認識が示された。

 また、後期高齢者医療制度のあり方や、医療保険と介護保険の関係などについて問題提起が行われたほか、本会議の位置付けに関する質問があり、日医執行部の政策決定に資するべく会長諮問に基づき検討し、その時々のトピックも取り上げることが提案された。

 なお、本会議は本年度、来年度ともに、年5回程度の開催を予定している。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03−3946−2121(代)


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