白クマ
日医白クマ通信 No.1668
2013年5月30日(木)


定例記者会見
バルサルタン論文不正問題疑惑に対する日本医師会の見解
−今村副会長

定例記者会見


 今村聡副会長は、5月29日の定例記者会見で、ノバルティスファーマ株式会社の社員が、身分を伏せて自社の高血圧治療薬「バルサルタン(商品名ディオバン)」の臨床研究の統計解析に関与していた論文不正問題疑惑について、遺憾の意を表明するとともに、同社は早急に説明責任を果たすべきだとの見解を述べた。

 同副会長は、「臨床研究には、高い倫理性と公正性が求められている。臨床現場の医師は研究成果を踏まえて医薬品を使用しており、これに疑念が生じていることは、患者の健康にも多大な影響を与えかねない由々しき問題である」と強調。疑惑のある薬が実際に服用され、医療費から多額の支出(平成24年売上:約1,100億円)もなされていることを重く受け止めるべきだとした。

 その上で、医療の提供においては非営利性や透明性が肝要であり、医薬品・医療機器産業は他業種に比べて高度な倫理性が要求されるとして、「本件は、その研究成果が販売促進に利用されていたとのことであるが、製薬企業等が不正、あるいは公正性を欠くような関与をすることは断固として認められない。ノバルティスファーマ社は、事実関係について、医師、患者、国民に対して早急に説明責任を果たすべきである」と述べた。

 一方、厚生労働省に対しても、国民の医療を守り、医薬品の研究開発や国民皆保険を所管する立場から、関係企業等に対する指導・監督を適切に行うことを求めた。

 日医の対応としては、臨床研究が国民から不信感を抱かれることのないよう、(1)関係各大学及び各学会に、自浄作用の下に第三者の参画も得て対応することを求める、(2)臨床研究に携わる医師に、厚労省の「臨床研究に関する倫理指針」の更なる遵守を求める―としたほか、今後、会員への情報提供に努めていくとした。

 質疑応答の中で今村副会長は、論文の取り下げによりバルサルタン降圧薬の臨床研究データに疑念が生じていることから、問題の収束には、内部調査報告の公開など、早急に説明責任を果たす必要があることを再度強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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