白クマ
日医白クマ通信 No.1680
2013年8月8日(木)


定例記者会見
「平成25年医師会立 助産師・看護師・准看護師学校養成所調査結果について」
―藤川常任理事

定例記者会見


 藤川謙二常任理事は8月7日の定例記者会見で、本年5月に実施した「平成25年医師会立 助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」の結果を公表した。

 本調査は、医師会立の助産師・看護師・准看護師学校養成所における入学・卒業状況の実態把握を目的として毎年実施しているもの。今年度は353校から回答を得た。調査の主な結果は以下のとおり。



【入学状況】
○准看護師課程は、定員9,500人に対して、応募者数は25,400人で平成24年度から減少傾向にあるものの、平均倍率は2.8倍と高い水準。
○看護師2年課程は、平成20年度と比較すると、学校数、応募者数ともに減少幅は大きいが、平成22年度以降は減少傾向が緩やかになっており、平均倍率は1.4倍を保っている。
○看護師3年課程は、学校数の増加に伴い、応募者も平成22年度以降大幅に増加、今年度は定員3,200人に対して、応募者は13,966人、平均倍率も4.4倍と高倍率が続いている。
○助産師課程は、応募者、受験者ともに平成22年度から減少傾向を示すが、定員・入学者数から見ると安定している。

【最終学歴】
○准看護師課程は、約5割が高校既卒、約3割が高校新卒で、大卒、短大卒は年々増加し、約2割を占めている。
○看護師3年課程は、高校新卒の割合が約6割を占め、大卒・短大卒の割合は若干減少し13.4%となっている。

【卒業後の進路】
○准看護師課程は、医師会(管内)の医療機関への就職率は27.7%、医師会(管外)の医療機関への就職率は14.3%であり、医療機関に就業しながら進学している人の割合を加えると、全体の約7割が就業していることになる。
○看護師2年課程、看護師3年課程は8割以上が県内の就業で、全国の2年課程学校養成所の県内就業率は67.8%、3年課程学校養成所の県内就業率は77.3%となっている。
○助産師課程は、他の課程に比べて県外就業率が25.2%と高いが、学校養成所が少ないことから、医師会立の学校養成所は県外からの学生も含めて、貴重な養成の場となっている。

 結果に対して、同常任理事は、厚生労働省の第7次看護職員需給の見通しにおいて、平成25年末で42,400人の不足が見込まれているとした上で、新規に看護職員を養成する看護師3年課程、高校5年一貫教育、准看課程の卒業者が、平成10年の57,250人に対し、平成24年には50,028人と約7,200人も減少していることについて、「看護系大学が増える一方、准看護師の養成が大幅に減少しているが、大学が増加しても、准看護師の減少を補っていない」と指摘。更に、大学は全国から学生が集まることから、県内就業率は高くなく、中小病院や診療所への就職はほとんどないため、地域の看護職員の確保に繋がらないことに危惧を示した。

 その一方で、医師会立の准看護師学校養成所が実習施設や教員の確保、経営面において厳しい状況にあることから、閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれていることにも懸念を示し、これらの問題を改善するため、厚労省や行政に対して、補助金の増額や各種規制の柔軟な運用を求めていく意向を示した。

 また、厚生労働科学研究で行った潜在看護職員の平成22年末の推計が71.5万人という結果について触れ、「これらの方々に、いかに現場に戻って地域医療を一緒に支えてもらうか、その環境整備は一医療機関でやるには限界がある」として、国、都道府県及び関係者等が一体となった看護職員の確保が重要であるとした。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121
◇関連資料はこちら⇒結果報告PDF(640KB)関連資料PDF(689KB)


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