白クマ
日医白クマ通信 No.1758
2014年3月17日(月)


定例記者会見
「原子力災害における安定ヨウ素剤服用ガイドライン」
―石井常任理事

定例記者会見


 石井正三常任理事は、3月12日の定例記者会見で、日本医師会救急災害医療対策委員会災害医療小委員会及び日医総研において、「原子力災害における安定ヨウ素剤服用ガイドライン」を策定したことを報告した。

 これまで、わが国の原子力災害対策は、原子力安全委員会による「原子力施設等の防災対策について」に基づく取組みが行われてきたが、平成23年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故により、従来の防災対策における多くの問題点が明らかとなり、緊急時の情報提供体制の不備、避難計画や事前準備の不足、対策の意思決定の不明確さ等について、国会、政府、民間から多くの提言がされた。これを受けて、平成24年9月に原子力規制委員会及び原子力規制庁が発足し、同年10月に新たな「原子力災害対策指針」が策定された。更に、翌平成25年6月には同指針が改定され、原子力災害における「安定ヨウ素剤の事前配布の内容」等が追加され、これに基づき原子力施設立地の地方公共団体では医師の協力を得て、住民への安定ヨウ素剤配布のための事前説明会を行うこととされた。

 石井常任理事は、こうした指針の改定を受け、日医では、原子力施設事故による災害は施設周辺のみならず、広く都道府県にその影響が及ぶことも想定し、多くの医師が地域のオピニオンリーダーとして安定ヨウ素剤配布にかかる事前説明会においても、円滑にその効果や副作用等の説明を行うための参考になるよう、また、発災時においては、医師や医師会が安定ヨウ素剤の速やかな配布や服用等について行政に必要なリコメンデーションを行うことも出来るように、本ガイドラインを策定したと説明した。

 本ガイドラインは、(1)原子力施設の事故に対する安定ヨウ素剤の服用の必要性、(2)安定ヨウ素剤の服用について、(3)安定ヨウ素剤の服用に関する注意事項について、(4)住民説明会における安定ヨウ素剤事前配布に関する資料、(5)原子力施設事故における避難等と安定ヨウ素剤の服用、(6)原子力事故の発災時における医師の行動とそのための事前準備、(7)その他、実効性向上のための事前準備―から構成されている。

 (1)〜(4)では、事前説明会における安定ヨウ素剤に関する説明内容と配布に関する必要な資料がまとめられており、服用不適項目や慎重服用項目における住民の回答に対する対応等が示されている。また、(5)では、原子力施設事故が起こった場合の避難と安定ヨウ素剤服用の関係について、(6)(7)では、医師や医師会として行うべき事前準備についてもまとめられている。

 同常任理事は、全ての医師が本ガイドラインを読んで、こうした事柄を理解しておくことが望ましいとの考えを示した上で、「住民の被ばくリスク軽減のために、安定ヨウ素剤の服用時期や配布時期に関する医学的知見をもって、地域住民や地域行政に対して積極的に助言を行っていただきたい」と述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
◇プレスリリース資料はこちら⇒PDF(650KB)


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