白クマ
日医白クマ通信 No.1849
2015年1月29日(木)


定例記者会見
「第5回日本の医療に関する意識調査」の結果概要について
―江口成美日医総研主席研究員

定例記者会見


 江口日医総研主席研究員は、1月28日の定例記者会見で、平成26年8月に実施した「第5回日本の医療に関する意識調査」の結果について概説した。

 本調査は、医療に関する国民の意識やニーズを継続的に把握すると同時に、昨今の医療に関する要望を新たに調査し、今後の医療政策に向けた基礎データを作成することを目的に実施しているものである。

 調査は、20歳以上の国民を対象に、(1)個別面接調査に加えて今回から、(2)WEBモニター調査―を実施、有効回答数は、個別面接調査1,122人、WEBモニター調査5,667人。

 個別面接調査によると、「受けた医療の満足度」は、「満足」「まあ満足」と回答したのは全体の89.6%と高く、「日本の医療全般の満足度」についても「満足」「まあ満足」と回答した割合は69.5%と上昇傾向が見られた他、「患者一人ひとりの希望や状況に応じた医療を受けている」と回答した人も増加しており、このことから、医師患者関係に一定の向上が見られるとしている。

 一方、受けた医療に対する不満の理由については、「待ち時間」「医師の説明」「治療費」等が挙げられているが、待ち時間が長くても医師の説明が十分であれば、医療に対する満足度が高いことが明らかになったと説明。また、自身の治療方針の決定に際しては、高齢者も自己決定意識が強く、医療に対する積極的な関与を希望しているとした。

 「医療ニーズと不安」に関しては、今後の医療の重点課題として、「長期入院できる施設の整備」が56.4%と前回より増加している他、地方部(町村)では、地域の医療に関する不安が都市部より全体的に強く、地域格差があることが示された。

 「かかりつけ医」に関しては、「かかりつけ医等決まった医師の受診を最初に望む人」は69.9%と約7割を占め、かかりつけ医への要望については、「専門医への紹介(93.3%)」「幅広い診療(82.0%)」「健康管理(76.6%)」等、多くを期待している他、高齢者は在宅医療や看取りへの要望も高くなっていた。

 同主席研究員は、今後について、「医師が患者に十分に説明を行うための医学教育の強化」「かかりつけ医に対する期待に応えること」「より多くの国民がかかりつけ医を持てるよう、積極的な情報提供を行うこと」が重要であるとした上で、「医療満足度と医師患者関係の向上の背景には、国民の医療への理解と医師の対応の改善があると推測される。現在進められている医療制度改革は、医師患者間の信頼関係を損なうことなく、更に強化する方向で進められるべきだ」と指摘した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合政策研究機構 TEL:03-3946-2121(代)
◇プレスリリース資料はこちら⇒PDF(444KB)


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