白クマ
日医白クマ通信 No.413
2006年5月30日(火)


佐賀県医師会「福島県立大野病院の医療事故について声明を採択」

 佐賀県医師会では、去る5月25日に定例代議員会を開催し、下記の声明を全会一致で採択しましたので、報告いたします。

声明
「福島県立大野病院の医療事故に係わる産婦人科医師の逮捕・勾留事件について」

 はじめに、今回の手術でお亡くなりになられた患者さんのご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様に心から哀悼の意を表します。

 さて、平成16年12月に福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が亡くなられた問題で、手術を担当した同病院産婦人科医が医師法第21条(異状死の24時間以内の届出義務)違反、及び業務上過失致死の疑いで平成18年2月18日に逮捕・勾留され、3月10日に起訴されたことについて、私共は地域で医療を担う者として、強い関心を持つとともに、重要な問題と認識しております。

 今回の問題は、(1)医師法第21条に定める「異状死」の解釈が不明確で、届出義務の範囲も定まっていないこと、(2)医療事故の届出に基づく評価を行なう第三者機関の未設置と同機関への報告制度が整備されていないこと等が遠因であると思われます。

 医師法第21条にある異状死とは警察へ届出なければならない死のことであり、その届出の性質については本来、殺人などの犯罪の認知と通報を通じた司法警察への協力であると解釈されてきましたが、昨今、医師本来の業務である医療行為を警察への通報対象とする傾向が現れてきました。しかし、この様な状態での24時間という制限は非常に大きな問題を含んでいます。

 即ち、当該医療が過誤や事故であるか否かは、判断自体が難しい事柄で、医療行為の評価が専門的になされてはじめて判明することも少なくなく、判断には時間と手間が必要であります。

 このような状況下での警察による介入は、医療事故の原因究明と再発防止になじまないばかりか、医療にたずさわる者の不安を募らせ、ひいては萎縮診療につながり、結果的に患者さんの大きな不利益に繋がることも危惧されます。

 従いまして、私共といたしましては、医師が安全・安心な医療を提供できるよう、また、患者さんにとっても安全・安心な医療が受けられるよう医師法第21条の異状死の定義、解釈を含めた国家としての法整備と第三者評価機関の整備が早急に必要であると考えますので、関係各方面のご理解とご協力を強く切望いたします。

平成18年5月25日
社団法人 佐賀県医師会

◆問い合わせ先:佐賀県医師会 TEL:0952-33-1414


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