白クマ
日医白クマ通信 No.632
2007年4月12日(木)


定例記者会見
「賃金基本統計調査結果」の報道等に関する問題認識について

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、4月11日の記者会見で、厚生労働省が発表した「平成18年賃金構造基本統計調査結果」を受け、「医師の所定内給与は一般労働者の倍以上」と報道されたことについて、厚労省の「職種別年間給与」の比較には、所定内給与が使われていることを問題視したうえで、その根拠を示して、医師の給与は決して高くなく、十分とは言えないと説明した。

 同常任理事は、まず、厚労省のデータは、(1)所定内給与は、いわゆる残業手当を除く基本給の部分のみ(月給ベース)、(2)一般労働者の平均は、企業規模、職種、学歴にかかわらない平均値―をもとにしていると説明。厚労省の「職種別年間給与」は、平均年齢にばらつきがあるため比較ができないとし、大企業(常用労働者1,000人以上)のみを摘出して平均年齢を調整した表を提示して、医師(勤務医)の給与は決して高くないと強調した。

 また、開業医の所得は高いという指摘に関しては、開業医(個人立診療所)では、収支差から税金を支払い、借入金の返済等を行わなければならず、実質的な可処分所得は約1,000万円になると説明。また、勤務医との比較に関しても、「開業医は、今日の医療制度のなかで、診療報酬体系上、非常に高い経営的なリスクを負い、さらに福利厚生面の保障もない。年収だけで勤務医と比較するのは適切ではない」と、開業医の経営実態を説明し、理解を求めた。

 さらに、所定内給与で行われがちな給与比較についても言及した同常任理事は、「医師は所定内給与が高く、賞与があっても低い傾向にある。これは年俸制が多いことが考えられる」と指摘。「経団連の調査(2006年)では、年俸制導入企業は37.6%であるが、日医総研等の調査(2003年4月)によれば、民間病院の81.6%が医師に年俸制を導入しており、民間病院の53.6%は、退職金すらない」と、職種別に年間賞与を比較した表を用いて、医師の給与体系について解説。改めて医師の給与は決して高くないことを強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)

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