白クマ
日医白クマ通信 No.677
2007年6月18日(月)


第3回 第X次生命倫理懇談会
作業部会の「終末期医療のガイドライン」案をもとに議論

第3回 第X次生命倫理懇談会


 第3回生命倫理懇談会が6月15日、日医会館で開催された。

 冒頭、あいさつした唐澤会長は、終末期医療のあり方について「日医も何らかの意見表明をしなくてはいけない時期だ」との認識を示し、忌憚のない意見を求めた。

 続いて、作業部会長がガイドライン案を説明した。ガイドライン案は(1)終末期状態であることの決定は、医療・ケアチームで行う、(2)終末期における医療の開始・不開始・変更・中止等は、患者の意思決定を基本に、医療・ケアチームで慎重に判断する、(3)疼痛を緩和し、患者・家族の精神的・社会的援助も含めた総合的な医療・ケアを行う―などを柱としている。

 医療・ケアチームは、原則として主治医と主治医以外の1名以上の医師、看護師、ソーシャルワーカー等で構成するとし、在宅療養にあたる医師の支援システムにも言及している。

 ガイドライン案の主旨は、厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」と概ね一致するが、日医案には、リビング・ウィルがある場合は患者の意思を尊重することや、医療・ケアチームで医療内容の決定が困難な場合に複数の専門職からなる委員会を別途設置し、治療方針について検討・助言を行うこと、また、このガイドラインに沿って延命措置をとりやめた医師の行為の免責について明記されている。

 作業部会長は「終末期の患者に対する医療者の対応によっては刑事事件にまで発展し、殺人罪に問われることもある。こういうことをできるだけ防ぎたい」と強調するとともに、複数の専門職からなる委員会の設置は地域医師会に要請していくとした。

 委員からはリビング・ウィルの内容や書式について質問が相次ぎ、注釈をつけることが決められたほか、リビング・ウィルを書いた後でも、患者の意思の確認が可能な場合はその都度確認し、意思の変化にも配慮することなどが合意された。

 このほか、いわゆる尊厳死の法制化に関する問題についても意見交換が行われた。

◆問い合わせ先:日本医師会企画課 TEL:03-3946-2121(代)


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