白クマ
日医白クマ通信 No.797
2007年11月28日(水)


定例記者会見
「国民が安心できる医療のために ―産科・小児科・救急医療を守る―」

 中川俊男常任理事は、11月21日の記者会見で、「全国の医師会の先生方に、地元選出の国会議員の先生方へのロビイングに活用いただくための資料を作成した」として、2008年度診療報酬改定に向けて、「地域医療の崩壊を食い止め、国民の安心を守るため、診療報酬の引き上げを要望する」との日医の見解を述べた。

 同常任理事は、まず、過去の診療報酬の相次ぐ引き下げにより、1998年度を100とした場合の名目GDPと診療報酬との伸び率の差が、2007年度には9.3ポイントまで拡大したことを明らかにした。また、中医協の「医療経済実態調査」の問題点を改めて指摘し、データとして信頼性が低いと批判。日医が、より信頼性の高い「TKC医業経営指標」を用いて分析した結果、病院・診療所ともに減収・減益であったと説明した。そして、病院・診療所の損益分岐点比率は90%を超え、経営は危険水域に突入しており、このままでは最低限の医療の提供もできなくなるとの危機感を示した。

 さらに、2004年以降、産婦人科・小児科を休止(閉鎖)した病院が目立ちはじめたこと、産婦人科では、分娩実施施設数が減り、妊婦の救急受け入れが拒否されるケースが増えていること、小児科を標榜する医療機関も減り、過労死する医師は、小児科医が目立っていること、また、救急医療については、軽症患者の増加が問題視されているが、中等症および重症の患者も増え続けていることから、22都県では、2005年の調査で、119番通報を受けてから患者の医療機関への搬送に30分以上かかっていること―などの厳しい現状を説明した。

 そのうえで、同常任理事は、地域医療の崩壊を食い止め、国民のニーズに応えられるような医療安全対策を実施し、医療の質を確保するために、日医は診療報酬5.7%の引き上げを要望し、まず、産科医療、小児科医療、救急医療の建て直しを目指すと主張した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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