白クマ
日医白クマ通信 No.820
2007年12月14日(金)


定例記者会見
「母体保護法等に関する検討委員会答申まとまる」

 日医の母体保護法等に関する検討委員会はこのほど答申を取りまとめ、11月30日に佐々木繁委員長(新潟県医師会長)から唐澤人会長に提出した。これを受けて、母子保健担当の今村定臣常任理事は、12月12日に記者会見し、その内容を説明した。

 母体保護法等に関する検討委員会では、唐澤会長から「母体保護法等をめぐる諸問題」について諮問を受け、5回の委員会と2回の小委員会を開催し、鋭意検討を重ね、今回の答申を取りまとめた。

 答申のなかでは、現行の母体保護法との関連で検討すべき優先項目として、(1)多胎減数手術、(2)人工妊娠中絶を行う際の配偶者の同意、(3)人工妊娠中絶の胎児条項―の3点を取り上げている。

 (1)については、その必要性に関して意見の一致をみたと明記。また、現行法下での実施可能性については、刑法の堕胎罪、母体保護法(旧優生保護法)が制定された当時は想定されなかった技術であることを考えると、法の改正まではせずに、現行の規定の解釈によって、その実施が可能なのではないかと指摘している。一方、(2)については、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点から、生殖に関わる女性の自己決定権を尊重して、人工妊娠中絶の適応を満たす場合には、「人工妊娠中絶の同意は、原則女性本人の同意だけで足りる」と現行法を改正すべきと提案。一方で、父親の子どもに対する権利あるいは施術に関わる問題回避の観点から、現行通り原則配偶者の同意も必要としておいた方がよいとする強い少数の意見があった、と付記している。また、(3)については、胎児条項の導入を具体的に議論するような事例は頻繁に生じておらず、社会一般においても導入を積極的に支持する情勢にないことから、現状では中絶の適応に胎児条項を導入することは適当でないとしている。

 同常任理事は、今回の答申を受けた日医の対応について、「今後執行部内で検討する」と説明。また、現行の母体保護法に関しては、「概ねうまく運用ができている」とし、早期の改正を求める考えはないことを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第三課 TEL:03-3946-2121(代)

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