白クマ
日医白クマ通信 No.854
2008年1月29日(火)


定例記者会見
「診療所治療費未払い実態調査」の概要を報告

今村聡常任理事


 今村聡常任理事は、1月23日の記者会見で、「診療所治療費未払い実態調査」の概要を公表した。

 本調査は、全国の医師会に対して事前に行った予備調査から、未収金に対して問題意識を持っていることや、地域性などを考慮して選定した全国11の郡市区医師会の会員診療所に調査票を配布してアンケートへの協力をお願いしたもので、916の診療所から回答を得た(回収率54.0%)。

 調査の結果、未収金の額は、診療所では病院ほど多くはなく、無床診療所よりも有床診療所の方が多い、また、分娩を取り扱っている診療所、救急対応をしている診療所の方が多いことが明らかになった。

 診療科別に見ると、産婦人科、外科での未収金が多く、客体数は少ないが、泌尿器科でも未収金が多い。また、未払い患者一人当たりの未払い額は、外科が15,000円前後で最も高かった。

 未払いが発生する原因として、「所持金不足」「経済的理由」と感じている診療所が約70%を占めているとの調査結果について、同常任理事は、医療費の窓口一部負担金の増加が大きく影響しているとし、「患者さんの負担を減らすよう、今後も、日医から強く要望していく」と述べた。一方で、診療所の13%が主原因とした「支払う意志がない」患者にどう対応するかも、今後の課題であるとした。

 未収金に対しては、診療所でも「口頭」(70.3%)、「電話」(64.0%)、「書面」(40.8%)による催促を行っているとし、特に、未収件数の多い精神科、未収金額の多い外科、産婦人科などの診療科では、書面による催促を行っており、回収に努めている実態が明らかとなった。

 また、同常任理事は同日の会見で、TKC全国会「医業・会計システム研究会」の情報提供により作成した「診療所の窓口未収金実態調査」の分析についても紹介(http://www.clinic.tkcnf.or.jp/b/b02/b0264.html)。日医の調査と同じように、有床診療所、産婦人科、外科での未収金が多いことから、「今回の調査は、診療所の未収金の実態を的確に表しているのではないか」と述べた。

 なお、今後は、厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」での議論も踏まえて、対応していきたいと述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会総合政策研究機構 TEL:03-3946-2121(代)

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