白クマ
日医白クマ通信 No.89
2005年3月29日(火)


第112回 日本医師会定例代議員会開催 個人質問

■個人質問1:
「日医総研について」
(立入克敏代議員 京都府)

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伯井俊明常任理事

 伯井俊明常任理事が回答。

 日医執行部の使命は、国民の視点や適切な地域医療体制という視点に立った政策を提示、具現化していくことであり、日医総研は、調査・研究の面から、これをサポートすることが、本来の役割であると理解している。

 このような観点から、従来日医総研が担当してきた各種事業は、漸次縮小することを基本方針とし、調査・研究にできるだけ特化した体制にシフトしていくように整えている。

 現在、調査・研究の成果は、原則月2回開催している会議において、担当研究員から説明を受け、公表の適否についても稟議の上決定している。

 また、研究の指導やテーマ選定等を含めて、日医総研を統括し、その核となるような新たな人材の登用を検討しているところである。


■個人質問2:
「電子カルテ導入に対する日医の施策と対応について」
(池田琢哉代議員 鹿児島県)

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松原謙二常任理事

 松原謙二常任理事が回答。

 日医は、医療分野のIT化については、基本的に医師および患者主導型で推進すべきであると考えている。

 電子カルテを普及させるには種々の問題を抱えており、それは(1)技術的な問題、(2)コストの問題、(3)必要性の問題である。

 これらのような解決すべき問題を先送りにし、一部産業の利益のために電子カルテの普及促進を図るべきではない。

 繰り返しにはなるが、日医は、「医療分野のIT化は医師及び患者主導型で推進すべき」を基本姿勢として、従来と同様、慎重に対処していく所存である。


■個人質問3:
「認定医療法人制度および指定管理者制度について」
(竹内輝博代議員 山形県)

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三上裕司常任理事

 三上裕司常任理事が回答。

 認定医療法人制度の創設目的は、指定管理者制度が導入されたなかで自治体病院の受け皿の有力な候補として想定されており、その再編に関して非公務員型の地方独立行政法人とともに、有力な一つの方法であると考えられる。

 認定医療法人が、株式会社参入に道を開くとの指摘に関しては、現在の枠組みでは難しいと思われるが、医療の非営利原則を守るべく、制度設計に臨みたいと思う。

 指定管理者制度に対する日医の見解は二通りあり、一つは指定に対する行政の裁量が強く働くことが考えられ、公正な指定が適切に行われるかが課題ある。もう一つは、医療の非営利原則に関することであり、地方自治体などは、自治体サービスの民間業者への委託や移管を推し進める方針であり、注意が必要である。


■個人質問4:
「保険指導について」
(木下敬介代議員 山口県)

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櫻井秀也副会長

 櫻井秀也副会長が回答。

 平成10年、医療課長通知により、実質的に、「集団的個別指導」から「個別指導」への連動は阻止される形となった。多くの都道府県では、高得点を理由に「個別指導」が行われることはなくなっているものの、「個別指導」の対象を選定する時に、高得点以外の理由に該当する医療機関が少ない場合には、高得点を理由に「個別指導」が行われる可能性がある。各県における特性を踏まえた上で、高点数を理由に「個別指導」が行われることなく、適正な理由によって「個別指導」が実施されるように、配慮をお願いしたいと思う。

 保険指導医については、各県において、医師会と行政が話し合いの上で、「保険指導医」を決めていただき、問題があれば、日医として個別に対応したい。


■個人質問5:
「有床診療所の減少要因およびあるべき姿について」
(嶋田丞代議員 大分県)

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 三上裕司常任理事が回答。

 有床診療所の減少要因としては、患者の大病院志向や仕事上の負担の大きさなどが挙げられるが、最も大きな要因は、労務対価に合った診療報酬が確保されていないことにあると考えられる。病院・診療所間で整合性・統一性のある診療報酬と人事配置基準になるよう見直す必要があると考えられる。

 有床診療所は、日本の医療文化のなかで地域医療の要として大きな役割を果たしており、地域住民から信頼されていることは、2003年に日医総研が行った患者満足度調査の結果からも明らかである。

 現在、新たに経営面なども含めた実態調査、意識調査を行っており、日医の「有床診療所に関する検討委員会」で十分検討し、報告書を提出していただく予定である。


■個人質問6:
「看護職員の養成などについて」
(長内宏代議員 北海道)

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青木重孝常任理事常任理事

 青木重孝常任理事が回答。

1.看護職員の養成について
 看護職が不足している事実を数字ではっきりと示すことが、国の方針を変更させることにつながり、准看護師養成の有用性を説くポイントになると考える。

2.外国人看護師の受け入れについて
 一番のポイントは、外国人医師の受け入れをどうするかということであり、韓国から事務レベルであがった医師の相互承認の要望は反対した。フィリピンとのEPAについては、厚労省から事前に説明を受けており、協議もしている。

3.准看護師業務の位置づけ
 准看護師は、医療提供体制にあって日常的、一般的な看護業務の面で必要欠くべからざる地位を占めるものと考える。

4.準看護師養成に反対する日本看護協会との話し合いについて
 去年6月、日看協の南会長から「自分の在任中に準看養成停止の目途をつける」との発言があり、これには抗議した。日看協の専務理事以下の方々とは会合を持っており、良好な関係に発展しつつあると認識している。


■個人質問7:
「医療用医薬品の再分類と通称"非処方せん薬"の取り扱いについて」
(山英昭代議員 北海道)

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田島知行常任理事

 田島知行常任理事が回答。

 要指示薬制度から処方せん医薬品制度になったから、処方せんがなくても薬局で買えることになったのではなく、薬事法上の構造は改正前と改正後で基本的に変更はなく、今回の改正により、その範囲が狭まったものと理解している。

 医療用医薬品と処方せん医薬品の範囲をできるだけイコールにするように努力しなければならないと考えており、処方せんの医薬品以外の医療用医薬品の販売についても、厚労省に処方せんがなければ販売しないように指導通知を出すように要請している。

 財政制度等審議会の建議にも「医薬品等に係る保険適用の見直し」があるので、将来の保険給付はずしの口実にならないように十分注意していく所存である。


■個人質問8:
「児童・生徒の健康に関する現代的課題への取り組みについて」
(大手信重代議員 奈良県)

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雪下國雄常任理事

 雪下國雄常任理事が回答。

 日医では、現状における学校保健の問題を整理し、その活性化を図るために、学校医のなすべき緊急課題として、(1)健康教育に重点をおいた「生きていく力」づくりにシフトしていくべきこと、(2)「総合性」の視点に立つ、多彩な活動の展開、(3)「地域保健との連携、各職種の協力」の3点を重要視し、具体的には、(1)学校健診の見直し、(2)学校保健委員会の全校完全実施、(3)健康相談の実施・活用、(4)専門相談医の配置の4点を重点項目にあげている。

 専門相談医の配置については、日医においてはその必要性を認め「専門相談医モデル事業」として3府県で検討し、文部科学省に進言してきたが、平成16年より新規事業として、「学校・地域保健連携推進事業」として予算が計上された。

 日医のモデル事業も6道府県に拡大するとともに文部科学省の全国実施の成果を踏まえ、早期に専門校医の制度化を図りたいと考えている。


■個人質問9:
「医薬品の適応外使用に関する司法判断について」
(倉西久雄代議員 石川県)

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 松原謙二常任理事が回答。

 茨城の問題(使用した医薬品に対する診療報酬の請求権の発生要件)での判決は一般論ではなく、個別事例での司法判断と理解している。

 日医としては、昭和55年通知により、有効性・安全性が確認された医薬品は薬理作用で使用できると解している。

 平成16年7月9日には、昭和55年通知を再確認した厚労省の通知も発出されている。

 問題は保険者側にあり、現在、昭和55年通知をより具体的にするために、医薬品のポジティブリスト作成を当局と折衝しているところである。


■個人質問10:
「『個人情報保護法』に関連して ―カルテ・レセプトの開示について―」
(平野隆茂代議員 岡山県)

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 松原謙二常任理事が回答。

 カルテの内容には、患者の個人情報だけでなく、医師の個人情報も含まれているのではないかというご指摘であるが、厚労省ガイドラインには、「・・・当診療録を作成した医師の側から見ると、(中略)、医師個人に関する情報ということもできる」とその二面性が記されている。

 また、同ガイドラインには「・・・患者本人から開示の求めがある場合に、その二面性があることを理由に全部または一部を開示しないことはできない」とも記されている。

 レセプトの開示に関しても、レセプトには医師情報が含まれており、その取り扱いには配慮が必要であると考えている。現在、当局と交渉を重ねている。


■個人質問11:
「国民負担率について」
(鈴木満代議員 千葉県)

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土屋隆常任理事

 土屋隆常任理事が回答。

 国民生活にとって最も重要な社会保障政策を立案するに当たって、「潜在的国民負担率50%」という文言に拘束されるべきではない。

 国民負担率は、社会保障の財源を表すものではなく、果たして「国民負担率」という考え方は、社会保障の仕組みにおいて適切なものなのか、という疑問がある。

 国民負担率を持ち出して、公的医療費を削減し、公的保険のナショナルミニマム化を図ろうとする考えを容認するわけにはいかない。

 国民医療を守るため、国民医療推進協議会を中心に、公的医療保障の財源確保に向け、努力して参りたい。


■個人質問12:
「裁判員制度における医師の『出頭義務』について」
(今井三男代議員 神奈川県)

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藤村伸常任理事

 藤村伸常任理事が回答。

 裁判員の諾否に関しては、個人の思想、主義に関する問題でもあり、一律に医師は免責すべきという主張を行うべきではない。

 今後、細部にわたって議論が続けられ、修正される可能性を残しているが、医師一人で運営している診療所の場合は、患者に対する人道上の責務の遂行などという観点から、裁判員免責の条件に該当するものと考える。法務省、最高裁の現時点における見解でも、辞退要件に極めて近いものと認識しているようである。

 一方、多数の医師が勤務する病院においては、働きながら裁判員を勤めることが可能な就業規則のあり方などの検討が必要になる。

 日医としては、医師が裁判員受諾を辞退した時に、国民の義務違反として処罰の対象にならないように、法施行に至るまで法務省など関係団体の動向を見守って、必要があれば折衝をしていくつもりである。


■個人質問13:
「介護保険法改定を踏まえた、かかりつけ医のあり方について」
(矢島暎夫代議員 東京都)

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野中博常任理事

 野中博常任理事が回答。

 改正案では、介護予防すなわち新予防給付が提案されており、要介護認定に必要な主治医意見書の適切な記載ならびに介護サービス計画(ケアプラン)に対する適切な情報提供などが不可欠であり、その役割を果たす主治医として、「かかりつけ医」が最適と考えられる。また、「かかりつけ医」の医学的管理・判断を基に新予防給付やリハビリテーションが提供されるべきと考えており、厚労省の会議においても強く主張している。

 特に、急性期病院における退院支援と地域の在宅ケア資源との連携を推進し、さらに、「かかりつけ医」が適正にその役割を果たすには、日医が提案した「高齢者医療と介護における地域医師会の取り組み指針」の活用が望まれる。

 地域医師会が会員と一丸になって、高齢化に対応する地域医療再編と包括的システムの構築を実現していただきたい。


■個人質問14:
「外国人看護師・介護福祉士の就労について」
(山内英通代議員 岐阜県)

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 青木重孝常任理事が回答。

 日医としては反対であったとしても、外国人看護師の受け入れが決まった以上、日本の医療界が一致して公正にことを運び、十分な医療と看護の質を確保していかなければならない。

 日本での看護師資格を得るに際して、相互認証を行うのではなく、日本語による日本の国家試験に合格していただくこと、資格を得たあとも十分な研修を積んでいただく等が必要である。同時に、受け入れサイドも、不当な労働条件や差別など不公正なことがあってはならない。

 また、特定の医療機関や団体の独断を許すことなく、すべての医療機関に平等に情報を提供しながら、不正な事態が起こらないように配慮したい。

 介護福祉士についても、ほぼ同様の考え方で臨んでいる。


*土屋隆常任理事の「隆」、平野隆茂代議員(個人質問10)の「隆」 と 池田琢哉代議員(個人質問2)の「琢」の字は機種依存文字なので、近い字を使用しております。ご了承ください。


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