白クマ
日医白クマ通信 No.918
2008年5月27日(火)


中央社会保険医療協議会(5月21日)
「後期高齢者医療の診療報酬は中医協でしっかり検証していくべき」

中央社会保険医療協議会


 中医協総会・診療報酬基本問題小委員会・診療報酬改定結果検証部会が、5月21日、厚生労働省で開催された。

 総会では、「医療機器の保険適用」として、区分C2:1件が示され、中医協として承認。新たな保険適用(5月1日開始)では、医科86件(区分A2:45件、区分B:41件)、歯科61件の合計147件の報告を受けた。「臨床検査の保険適用」では、区分E3:2件について保険適用を承認した。

 次に、「後期高齢者医療の診療報酬」について、国会で問題となったり、マスコミ報道があることから、中医協事務局より、これまでの経緯や問題となっている点について紹介されたうえで中医協で議論して欲しいと要請された。

 平成19年10月10日に「社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」が取りまとめた「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」が示され、中医協ではこれに基づき平成20年4月の後期高齢者医療制度創設に当たり、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるような新たな診療報酬体系の構築を審議してきた経緯を説明。さらに、“長寿医療制度”のポイントやQ&A、後期高齢者診療料の届出状況(4月14日現在の速報値)と、診療報酬の算定方法に関する告示・通知等を提示しつつ、特に、(1)後期高齢者診療料、(2)後期高齢者終末期相談支援料―についての考え方を詳細に解説した。

 つづいて、後期高齢者終末期相談支援料に関連して、全日本病院協会、日本看護協会から資料提出とともに意見表明があった。

 特に全日病からは、現在会内で検討中の「終末期医療の指針(案)」の一部が本点数を算定するための指針のように取り扱われたことについて誤解である旨強調された。

 その後の意見交換では、初めに、竹嶋康弘副会長が、4月末の財政制度等審議会財政構造改革部会長による「中医協のあり方」に関する発言を問題視。「医療現場を理解している三者(診療・支払・公益)構成による委員が公的な形で議論する場である中医協は公平性が担保されている」と強調し、議事録への記録を要請した。

 中川俊男常任理事は、「後期高齢者診療料」については現場でも混乱があると指摘。制度と診療報酬は区別しなければならないとして、老人保健制度のままでも「後期高齢者診療料」の創設があり得たかを事務局に質し、「あり得ないことではない」との回答を引き出した。

 委員からは、「後期高齢者医療の診療報酬」については、社会保障審議会医療保険部会・医療部会でも議論され、「骨子」を踏まえて、十分議論して点数をつけてきた経緯があり、「中医協としては、あくまでエビデンスに基づいて議論していくべき」との意見が大勢を占め、遠藤久夫会長(学習院大学経済学部教授)も、「中医協で検証し、修正していくプロセスに乗せていくことが大事」との考えを示した。一部には、新制度が発足した途端に全否定するような議員の動きを、「政争の具にして、不安をあおるものだ」と批判する声もあった。

 基本小委では、DPC分科会から「平成19年度『DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価』最終報告概要」と「再入院に係る調査」についての報告があった。

 藤原淳常任理事は平成19年度調査で「DPCにより質の確保はされつつ医療の効率化が進んでいる」とまとめられていることについて、バイアスがかかった結論であり同意できないと述べた。

 また、「平成20年度におけるDPCに関する調査(案)」が示され、制度のあり方や調整係数廃止に伴う新たな機能評価係数等を検討することになった。さらに、平成20年度調査協力病院を今年度は準備病院として認めることが了承された。

 検証部会では、「平成20年度診療報酬改定結果検証特別調査項目(案)」として、(1)病院勤務医の負担軽減の実態調査、(2)外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査、(3)後発医薬品の使用状況調査、(4)後期高齢者にふさわしい医療の実施状況調査(a.後期高齢者診療料 b.後期高齢者終末期相談支援料)―など、今改定のポイントに関する9項目が挙げられ、その項目と検証の視点のみを了承。総会に諮った後に、調査方法やスケジュールについて検討することとなった。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)


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