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2009年の活動

1.第182回世界医師会(WMA)中間理事会

(1)概要

 第182回世界医師会中間理事会が2009年5月13日から15日にかけてイスラエルのテルアビブで開催され、27医師会、オブザーバー2団体より約130名が参加した。本会からは、石井正三常任理事ならびに畔柳達雄参与が出席した。

 今回の理事会は、2009年から2011年を任期とする新しい理事による初会合であった。WMA理事は23名で、日本からは唐澤会長、岩砂副会長、石井常任理事の3名の理事就任が承認された。理事会役員の選挙では、役員は出席理事の互選により選出され、日医からは副議長に石井常任理事(新任)が選出された。また、常設委員会委員長選出の後、唐澤会長は医の倫理と社会医学、岩砂副会長は財務企画と社会医学、石井常任理事は医の倫理と財務企画の委員に任命され、畔柳参与が医の倫理と社会医学委員会のアドバイザーとなった。

 会期中にアメリカ医師会、ドイツ医師会、韓国医師会、台湾医師会の各医師会と医療制度などについて意見交換を行なった。


(2)審議内容と決議内容

 1)役員/委員長選挙関係

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 2)日医において採択した決議、宣言について

 理事会にて、石井常任理事が第120回日本医師会代議員会で採択された「核兵器廃絶に関する決議」について報告し、参加者全員が過去に採択した核兵器に関する宣言・決議を再度サポートすることを確認した。また、日医の環境問題に関する取り組み姿勢を表明した「環境に関する日本医師会宣言」についても報告し、WMAでもこの問題についていっそう議論を深めてゆくことを確認した。

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 3)医の倫理関係

(1)各国医師会にコメントを求めるため回付する文書
「幹細胞研究に関するWMA声明案」
(2)作業部会で検討する文書
「プラセボに関する背景文書」
(3)総会へ付託する文書
「医師主導の職業規範に関するWMA宣言案」
「利益相反に関するWMA声明案とコメント」
「医療技術特許に関するWMA声明案」
「子どもの健康に関するWMAオタワ宣言改訂案とコメント」
「遺伝学と医療に関するWMA声明改訂案」
(4)その他
医師と製薬業界におけるWMAガイドラインに関する口頭報告を受け、すでにWMAから出されている「医師と企業の関係に関する声明」の改訂に活用することを確認した。

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 4)財務企画関係

(1)2009年10月ニューデリー(インド)での総会開催が承認された。
(2)今後のWMA中間理事会開催予定地
2010年 ディボンヌ(フランス)
2011年 チェコ
(3)WMAウェブサイトをデザイン・内容共に大幅な充実を計り、10月のニューデリー総会の頃までに新たに立ち上げる予定である。
(4)準会員に関する事項として、石井副議長が取りまとめをしている準会員改革作業部会に関して、改革案を後日提供することを報告した。
(5)世界医師会雑誌(WMJ)について編集長から年6回に発行回数を増やしたい旨が報告され、WMA幹部がこれを検討することとなった。

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 5)社会医学関係

(1)各国医師会にコメントを求めるため回付する文書
「ヘルスケア提供を目的としたテレヘルス使用の指針に関する声明案」
「健康格差に関するWMA声明改訂案」
(2)作業部会で検討する文書
「タスクシフティングにおけるWMA決議案とコメント」
「医師の医薬品処方に関するWMA決議改訂案とコメント」
「女性と子どもに対する暴力に関する背景文書」
(3)総会へ付託する文書
「医療における継続的な質改善ガイドラインに伴うWMA宣言改訂案」
「医療従事者におけるWMA決議改定案」
「医療投資改善に関するWMA決議改定案」
「健康と気候変動におけるWMA決議改訂案とコメント」
*本決議改訂案は、9月に行われるWMAセミナーの前に専門家から意見を取り入れるために、限定的に回付しコメントを求めることとなった。
(4)既存文書の整理
「全学校の医学校のカリキュラムに医の倫理と人権を含めることに関する決議」、「薬物療法における医師と薬剤師の職業上の関係に関する声明」は大幅修正されることとなった。

2.2009年世界医師会ニューデリー総会

(1)概要

 2009年10月14日から17日まで世界医師会(WMA)総会がインドのニューデリーで開催された。本会からは岩砂副会長、石井常任理事、畔柳参与が参加した。今回の総会の参加医師会数は46医師会およびその他9団体が参加し、総会の全体の出席人数は272名であった。このうち日本からの参加者は15名であった。総会の前日の13日には石井WMA副議長を含むWMA執行部の事前会議が開催された。14日は理事会、医の倫理、財務、社会医学各委員会が開催され、15日は準会員会議と 学術集会「テーマ:多剤耐性結核(MDR-TB)とその流行から得られた教訓」が開催された。16日は理事会本会議、総会式典が行われ、カナダ医師会のダナ・ハンソン氏が新会長に就任した。また、17日は総会全体会議が開催され、総括的な議論と採択が行われたほか、次期会長(2010〜2011年の会長)には地元インド医師会のケタン・デサイ氏が選出された。

 会期中には、CMAAO(アジア大洋州医師会連合)加盟医師会と意見交換の場を持ち、同地域の声をWMAに反映させるためにCMAAOにおける情報交換をさらに活発に行うことが確認された。

2009年世界医師会ニューデリー総会


(2)総会での主な決議事項

 1)医の倫理関係

  (1)新たに採択された文書

  • 医師主導の職業規範に関するWMAマドリッド宣言
  • 利益相反に関するWMA声明
  • 胚幹細胞研究に関するWMA声明
  • ニカラグアにおける中絶禁止法に関するWMA緊急決議
  • イラン・イスラム共和国における患者と医師の権利を支援するWMA決議

  (2)修正案が採択された既存文書

  • 子どもの健康に関するWMAオタワ宣言
  • 医療方法特許に関するWMA声明
  • 遺伝子と医療に関するWMA声明
  • 医師と営利企業の関係に関するWMA声明

  (3)その他

  • 医学研究におけるプラセボの使用について
    作業部会(議長国ドイツ)は2010年2月にサンパウロ(ブラジル)で専門家を招いて本件に関する会議を行う予定。本会も作業部会のメンバーとなっている。

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 2)社会医学関係

  (1)新たに採択された文書

  • タスクシフティングに関するWMA決議(日医は作業部会に参加)
  • ヘルスケア提供を目的としたテレヘルス使用の指針に関するWMA声明
  • 健康と気候変動に関するWMAデリー宣言
  • 健康格差に関するWMA声明

  (2)修正案が採択された既存文書

  • 医療における継続的な質の改善ガイドラインに関するWMA宣言
  • 医療従事者に関するWMA決議
  • 公衆衛生における投資改善に関するWMA決議

  (3)継続審議・各国医師会へ回付される案件

  • 医師の医薬品処方権に関するWMA決議案
    作業部会(議長国スペイン)は、処方権の問題は複雑で各国により状況が大きく異なることから、継続審議と各国医師会への回付を提案した。本会が作業部会のメンバーに加わることが決定した。 
  • 薬物療法における医師と薬剤師の関係に関するWMA声明改訂案
    各国医師会へコメントを求めて回付し、アイスランド医師会がまとめることになった。

  (4)その他

  • 女性と子どもに対する暴力について
    作業部会議長が4つの主要テーマと、2010年5月の理事会に第一草案を提出予定であることを口頭で報告した。

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 3)財務企画関係

  (1)世界医師会雑誌(WMJ)

  • 編集長のアピニス氏よりWMJ発行回数(4回)を来年から6回に増やすとの報告があった。

  (2)WMAウェブサイト

  • 事務総長より、WMA加盟国および準会員のための専用ページや双方向性コミュニケーションを導入して、ウェブサイトの活用を促すための改定を行ったとの報告がなされた。

  (3)準会員

  • 石井常任理事(準会員改革作業部会議長)が準会員改革案を提出し、同改革案を準会員会議において検討することが承認された。

  (4)今後の総会開催予定地

  • 2010年10月13-16日:バンクーバー(カナダ) 学術集会テーマ「健康と環境」
    2011年10月12-15日:モンテビデオ(ウルグアイ) 学術集会テーマ「禁煙」
    2012年10月10-13日:タイ

  (5)今後の理事会開催地について

  • 2010年5月20-22日:エヴィアン(フランス)
    2011年:オーストラリア
    2013年:チェコ
    2015年:英国

  (6)新規加盟の承認

  • マラウィ医師会の加盟を承認した(WMAの加盟医師会数は95となった)。


(3)学術集会

学術集会は15日、「多剤耐性結核(MDR-TB)とその流行から得られた教訓」をテーマに開催され、計11名の演者による講演と活発な議論が行われた。


(4)準会員会議

作業部会議長である石井常任理事は準会員改革案を提出し、準会員の特典を増やして準会員数の増加を図り、制度自体や会議内容の活性化につなげることを提案した。同改革案をもとに活発な議論が行われ、各国医師会にコメントを求めて回付されることとなった。


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