医師のみなさまへ

プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMAソウル宣言

(日本医師会訳)
THE WORLD MEDICAL ASSOCIATION, INC.
WMA DECLARATION OF SEOUL ON
PROFESSIONAL AUTONOMY AND CLINICAL INDEPENDENCE

  • 2008年10月
    WMAソウル総会(韓国)にて採択
  • 2018年10月
    WMAレイキャビク総会(アイスランド)にて修正

世界医師会(WMA)は「医師主導の職業規範に関するマドリード宣言」を再確認する。

WMAは、医師のプロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性の根本的性質を認識し、以下のとおり述べることとする:

1.プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性は、すべての患者と人々に質の高い医療を提供する上で必須の要素である。プロフェッショナル・オートノミーと独立性は、質の高い医療の提供に不可欠であり、したがって患者と社会に利益をもたらすものである。
2.プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性とは、個々の医師が診療に際して外部の第三者や個人から不当あるいは不適切な影響を受けることなく自らの専門的判断を自由に行使するプロセスを表したものである。
3.医学とは非常に複雑なものである。医師は、長年の訓練と経験を通して、エビデンスを考察し患者へのアドバイスを処方する医療の専門家となる。患者は、自分が受ける医学的介入を一定の制約内で決定する自己決定の権利を有している一方で、医師が臨床的に適切な推薦を自由に行ってくれることも期待している。
4.医師は、治療上の決断をする際には医療制度の構造と利用可能な資源を考慮しなければならないことを認識している。政府や行政機関が課す臨床上の独立性への不合理な制約はエビデンスに基づくものではない可能性があり、患者医師関係に不可欠な要素である信頼性を損なうリスクがあるため、患者の最善の利益にはならない。
5.医師のプロフェッショナル・オートノミーは、医師としての規則と基準とエビデンス・ベースの遵守によって制限される。
6.資源が限られるため、医療保険での適用範囲に関する優先順位と制限は不可欠である。 政府、医療資金提供者(第三者支払機関)、行政官、および管理医療組織が、規則や制限を課すことを求めて臨床上のオートノミーを妨害する可能性がある。これらの原則や制限は、エビデンス・ベースの医療原則、費用対効果、患者にとっての最善の利益などを反映していない可能性がある。経済評価調査は、利用者ではなく資金提供者の視点で健康上のアウトカムよりもコスト節約を重視して行われることがある。
7.優先度の設定、資金調達の意思決定、資源の割り当て/制限のプロセスには、透明性がないことが頻繁にある。透明性の欠如が、さらに健康の不平等を永続させてしまう。
8.一部の病院経営者や第三者支払機関では、医師のプロフェッショナル・オートノミーと医療費の慎重な運用は両立しないと考えている。プロフェッショナル・オートノミーは、患者が提供された情報に基づいた選択を行うことを医師が手助けすることを可能とするものであり、また、患者や家族による不適切な治療やサービスへのアクセス要求があった際に拒否する医師を支えるものでもある。
9.ケアは医療従事者が複数のチームで提供するものであり、通常医師が主導する。患者のケアにあたって最終的責任を担うのは医師であり、ケアにあたるチームのメンバーは医師のプロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性を妨げるべきではない。提案された治療コースについて他のチームメンバーに臨床上の懸念がある状況では、報復を恐れずにそれらの懸念を表明する仕組みがあるべきである。
10.医師による医療の提供は、倫理規則、医師としての規範、および適用法によって管理される。 医師は、それが医師としての職務を規制するものであると同時に国民を安心させるものと認識しつつ、規範的な基準の開発に貢献する。
11.倫理委員会、資格審査委員会、その他のピアレビュー形式は、医師の職業上の品行を精査し、それが適切な場合には医師の絶対的な職業上の自由を合理的に制限することを可能とする方法として、長い間確立され、認められ、受け入れられてきた。
12.WMAは、医師のプロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性の重要性は質の高い医療と患者医師関係にとって不可欠の要素であり保たれねばならぬものであることを再確認する。WMAはまた、プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性は医師のプロフェッショナリズムの中核的要素であると認識する。

世界医師会(WMA)トップへ