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不快な症状があるとき >> 便の色に異常を感じる

便の色がおかしいとき 

便の色はなぜ変わるか

 便は食べたものが消化、吸収され消化管より分泌された胆汁(たんじゅう)などが加わったものです。その結果、色は茶から黄土色をしているのがふつうです。ときに胆汁の緑色が加味されていることもあります。それ以外の色のときは何かおかしいと一般的に感じます。すなわち黒っぽい便、赤い便、白い便のときです。
 黒っぽい便、赤い便は血液が混入した便で、消化管のどこかが出血した結果です。黒っぽい便は肛門から遠い場所の出血です。赤い便は肛門近くの出血です。
 子どもに多い出血便は腸重積(ちょうじゅうせき)、感染性胃腸炎、切れ痔です。

腸重積

 腸が腸の中に入り込み腸閉塞(ちょうへいそく)になります。速やかに元に戻す必要があります。1歳前後の乳幼児が多く、おなかの痛み、嘔吐が最初あります。
 おなかが痛いときは、おとなと同じようにおなかをかばう仕草をします。歩ける子どもではうずくまり、まだ歩けない乳児はおなかの筋肉の緊張をゆるめるため膝をおなかの方に寄せます。この痛みは腸の動きに関係があるので、連続的な痛みではなく間欠的な痛みです。お母さんには陣痛様痛みと説明するとわかりやすいようです。
 嘔吐は頻繁にするようになり、だんだんと元気がなくなります。診断はおなかに超音波(エコー)を当て腸が入り込んでいる像があれば確定です。ただし、機嫌が悪い子どもでは判断が難しいことがあります。
 昔から行われている検査で肛門からバリウムなどの造影剤を入れて透視下(レントゲンを当ててリアルタイムにおなかの中を見ること)で閉塞している場所がわかれば確定診断できます。同時にこのバリウムで閉塞している場所を押し出せば治療に続くのです。この方法で整復ができないときはおなかを開けて直接手で元に戻します。
 まれに閉塞している時間が長いと腸が壊死(えし)し、その場所の腸を切断しなければいけません。腸重積の治療の基本は、できるだけ早期に診断して整復することです。

感染性胃腸炎

 ウイルス性と細菌性とがありますが、細菌性のとき便がべとっとした粘液状になり、その中に血液が混じっていることがあります。いわゆる粘血便という状態です。細菌性胃腸炎は便を培養して原因細菌を調べます。病原性大腸菌、キャンピロバクター、サルモネラ菌などがあります。食中毒として扱われることが多く、生卵、十分熱を通していない肉を食べたときになることがあります。

切れ痔

 便が硬いと肛門近くの粘膜を傷つけて出血することはあります。このときの色は鮮紅色です。

白い便のときは?

 便が白いときは下痢があれば、白色便下痢症があります。これは感染性胃腸炎の一つで主にロタウイルスが原因のことが多いようです。
 そのほか白い便が出る病気に、先天性胆道閉鎖症(せんてんせいたんどうへいさしょう)があります。これは生まれつき胆道がないか、非常に狭い病気で、胆汁が消化管に出ないため便が白くなります。
 生後2週間から1か月ごろに見られ、速やかに診断、手術となります。
 消化不良の中に脂肪便があります。便は白く便を引き延ばすと脂ぎった光があり、脂肪のかたまりとして認識されます。何らかの理由で脂肪を分解する酵素が出ないことが原因です。
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