表紙ページ >> 急な病気?!と思ったら見て頂きたい緊急時対応方法
見た目に具合が悪そうなとき >> せき、喘息

せき、喘息 

せきが出るとはどんなこと?

 せきは夜になるとよく出る場合があります。その結果、いっしょに寝ているお父さん、お母さんは寝不足になり、子どもも同じように寝不足だと思うようです。診察室では子ども以上にお母さんの方が疲れています。お母さんはせきのひどさを訴え「何か重い病気にでもかかったのでは?」と、とても心配します。
 のどや気管が、左右の気管支に分かれる場所は非情に敏感なところです。ここに何かで刺激を受けると、せきが出ます。この刺激が脳の咳中枢に伝わり「咳反射」が起こるのです。
 咳中枢が指令を出すと、最初に空気を大量に吸い込みます。のどにある、声を出す声門を閉じて、空気が出ないようにします。次におなかの筋肉に力を入れて、横隔膜を上に押し上げようとします。肺は空気でぱんぱんになりますが、出口がありません。肺の中の圧力がかなり上がったところで、一気に声門を開き空気を外にはき出します。勢いよく空気が出るとともに、気管にある異物や痰を出します。これがせきです。
 せきは本来、気管に痰がたまったとき、何か有毒物を吸い込んだとき、何か異物がのどから気管に入ったときに出るのです。
 耳掃除をしているとせきが出る、という経験をお持ちの方がいると思います。実は、外耳道の粘膜の下に咳反射を指令する神経が通っているので、この神経を耳かき棒で刺激すると、せきが出てしまうのです。

せきが出る原因と位置

 のどから肺までの間に炎症があると、せきが出ます。のどの炎症でいちばん多いのは「のどかぜ」です。痰の出ない乾いたせきが特徴です。
 声門あたりの炎症は「クループ症候群」と言って、空気が通りにくくなるため呼吸困難を伴うことがよくあります。呼吸をするとイヌの遠ぼえのようになります。
 のどの下が気管支です。気管支は異物や炎症があると痰を作って外に出そうとします。せきをするとさらに出やすくなるのです。
 子どもは、痰(たん)を、おとな以上に多くつくるのですが、せきがおとなよりうまく出せないために痰がなかなか出てゆきません。その結果、せきは長く続くことになります。子どもの「気管支炎」は、痰が多く気管支の直径がもともと狭いため、空気の通るところがさらに狭くなって起こります。その結果、喘息のような症状になります。喘息と区別がつかないため「喘息様気管支炎」という病名をつけることがあります。「喘息」も、せきが出る代表的な病気です。喘息は気管支炎と違って、気管支を取り巻いている筋肉を収縮させるため、さらに狭くなり、呼吸困難を伴いやすくなります。気管支と肺の移行部分を細気管支と言いますが、この場所に炎症すなわち「細気管支炎」になると症状はさらにひどくなります。1歳以下の子どものときは要注意です。
 いちばん奥にある肺も、肺炎があれば痰がよく出てせきを伴います。
 気管に異物を吸い込むと当然せきが出ます。「気管支異物」のせきの特徴は突然出るせきです。

せきが出やすい時間帯とは?

 昼間はあまりせきが出ないのに、夜寝るとせきが出る。と、よく言われます。咳反射は、夜ふとんの中に入ると暖かくなって出やすくなり、ふとんに付いたほこりなどの影響でも、せきは出やすくなります。
 そんな中でも明け方になると、せきが多く出る子どもがいます。のどの奥を診ると黄色のどろっとした鼻水がのどの方に流れるような感じで見えます。このような状態を耳鼻科の先生は「副鼻腔気管支炎症候群」と呼んでいるようです。

せきが出ているときの対応方法

 せき以外の症状をまずチェックします。熱があるかどうか?、せきの持続期間はどうか?、呼吸状態は?などです。
 特に、呼吸困難があるときや、眠れないときには急いで病院へ行ってください。肺炎、喘息発作、細気管支炎、気管支異物のあるときにはこのような状態になることがあります。
 熱があっても家庭生活ができるときは、一般外来でせき止めをもらいます。せき止めには、咳反射を指令する脳の咳中枢を抑える薬である「中枢性鎮咳剤」と、痰を柔らかくして出しやすくする薬である「末梢性鎮咳剤」を出します。
 また喘息のようなせきのときには、気管支を広げる薬もせき止めになります。特に最近では胸や背中にはってせきを抑える薬がよく使われています。

ご家庭への指示

 家庭では痰を軟らかくし出しやすくするために加湿してください。昔はせきをすると風邪がひどくなるからと、お風呂へ入れないようにしていましたが、現在は状況を見て「お風呂に入れても大丈夫です」と指示しています。湿った空気を吸わせることで痰が出やすくなるので、積極的にお風呂に入るようにすすめています。
 せきで痰をうまく出せない子どもには、せきをしているとき背中をさすったり軽くたたいて助けてあげるとよいでしょう。  
トップページへ戻るケガへの対応病気への対応

日本医師会ホームページ/Copyright c Japan Medical Association. All rights reserved.