医療業界ニュース
精神疾患や自殺予防に関する教育システムを整備すべき
~日本医師会精神保健委員会が答申~
日本医師会の精神保健委員会は、2012年3月1日に会長諮問「うつ・自殺対策における具体的対応の提示」に対する答申を提出した。
その要旨は、「うつ病などの精神疾患に罹患した患者の多くは、さまざまな身体症状を訴えて、初診の段階では地域のかかりつけ医のもとを受診していることを各種の調査が明らかにしている。したがって、かかりつけ医は精神疾患を早期の段階で診断し、適切な治療に導入するという重要な役割を果たすことが期待されている。そのためには、地域においてかかりつけ医と精神科医の間で円滑な連携システムを築く必要がある。単にシステムを構築するだけでなく、両者の間に顔の見える関係作りをしておく必要がある。なお、うつ病に関する一般の認識は徐々に高まってきているが、今後はさらにアルコール依存症に関する認識についても高めていくべきである。精神疾患や自殺予防に関する教育は、医学部における卒前教育、卒後教育、生涯教育の場で一貫した教育システムを整備すべきである。」となっており、かかりつけ医と精神科医の連携システムや、学部教育から生涯教育までの一貫した教育システムにも言及している。
これから医師として活躍する医学生も、専門を問わず身体症状の訴えに隠れた精神疾患を的確に診断していく力が求められている。
より多くの勤務医の意見を日本医師会に反映すべき
~日本医師会勤務医委員会が要望~
日本医師会に設けられている勤務医委員会では、会長諮問「すべての医師の協働に果たす勤務医の役割」について2年間の検討を行い、医師会活動に勤務医が積極的・主体的に参加することが重要であるとの意見で一致した。特に、日本医師会への勤務医の参加を進め、その意見が反映される体制を作るためにも、日本医師会理事に「勤務医枠」を創設することを要望した。要望書では、勤務医が多く日本医師会に入会することにより、すべての医師の協働が進むだろうとしている。これに対して日本医師会の三上裕司常任理事は、「役員の中に占める勤務医の割合は各医師会の事情によって異なるが、都道府県医師会の中には役員の半数以上が勤務医というところもある。勤務医からの強い要望もあるので、勤務医枠の創設に向けて執行部内で検討していきたい」と記者会見で述べた。
被災者への心的影響を考え、津波の映像等への配慮を要望
~医療関係者を代表して報道機関等に申し入れ~
日本医師会は、東日本大震災から1年を迎えるのを前に各報道機関に対し、「今回の震災を風化してはならぬという思いは、皆同じであると思いますが、津波の映像等は、当時の場面を想起するなど、精神衛生的に好ましくない影響があるとの指摘が、精神科の医師等より出されています。震災関連の番組を放送する際には、これらを可能な限り自粛頂く等、大きなトラウマをお持ちの被災者の方々、特に小さなお子さんやそのご家族に対する格段の配慮を求めます」との内容を含んだ会長名の申入書を送付した。
心臓移植受けた人95%が生存、40%が社会復帰
脳死移植102例検証・厚生労働省
脳死での臓器移植が適正だったかどうかを事後検証する厚生労働省の「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」は3月29日、平成24年1月末までに検証が終了した102例の検証結果について公表した。これによると、心臓移植を受けた80人(心肺同時移植1件を含む)中76人が生存しており、そのうち32人が社会復帰していることが明らかになった。臓器の定着率が比較的低い肺移植においても、移植を受けた79人中58人が生存、うち29人が移植前と同等の社会復帰を果たしている。検証会議座長の藤原研司・横浜労災病院名誉院長は「移植を待つ人の希望になる」と話した。
臓器提供者は男性57人、女性45人であり、平均年齢は44歳。器質的脳障害の原因となる疾患(原疾患)は、くも膜下出血が最も多く42例で、脳出血・脳梗塞と合わせると脳血管障害が60例と半数以上であった。年齢が上昇するにつれて脳血管障害を原疾患とする割合が高かった。
インターネットで副作用情報を登録
医薬品の安全対策
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は3月26日、WEBシステム上で患者・家族が副作用の情報を報告するシステムの試行を開始した。
患者からの情報を安全対策に活かす仕組みの創設については、厚生労働省の検討委員会が平成22年4月に最終提言で指摘しており、別の有識者会議でも患者からの副作用情報を活用すべきとの報告が出ていた。
登録項目は、医薬品の情報、患者の性別・年齢・身長・体重などの情報、患者の氏名・連絡先など約40項目。PMDAは試行期間中にインターネットを通じて登録されたこれらの情報を、安全対策に役立てることを目標としている。
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