みさと健和病院 作業療法士
五十嵐 亜華子さん

チーム医療のリーダーシップをとる医師。円滑なコミュニケーションのためには他職種について知ることが重要です。今回は、リハビリテーション専門職である、作業療法士を紹介します。

生活に必要な動作のリハビリ

作業療法士(Occupational Therapist, OT)は、子どもから高齢者まで、身体や精神に障害のある方に対して、食事や入浴など生活に必要な動作を訓練する国家資格です。

理学療法士(Physical Therapist, PT)が身体の基本的動作に働きかけるのに対し、OTは日常生活を送るための応用的動作に働きかけ、社会復帰をサポートするのが特徴です。OTは大学や専門学校で、運動学や生理学などに加え、生活動作・義肢装具・社会福祉・心理学・精神医学なども学びます。今回は、みさと健和病院の五十嵐亜華子さんにお話を伺いました。

五十嵐さんは急性期と回復期の両方の患者さんのリハビリを担当しています。急性期のリハビリでは、ベッドサイドで寝返りや起き上がり、座位の保持といった動作の訓練を、PTと共に担います。

「急性期では基本的な動作のリハビリが中心となりますので、どちらかというとPTがメインとなって動きます。OTは、靴を履く、車いすに乗るといった、生活に必要となる具体的な動作に特化しています。自分でお手洗いに行きたいという方は多いので、お手洗いに行くための一連の動作を訓練したりもします。」

回復期では、主にリハビリ室での個別訓練と、体操などの集団活動を行います。

個別訓練では、まずOTの指導のもと、食事や着替えなどの基本的な生活動作ができるようリハビリ室で訓練し、ある程度できるようになってきたら、食堂での食事やベッドサイドでの着替えなどを、看護師の見守りのもと、介助なしで行ってもらいます。

退院後の生活をシミュレート

1dayさらに退院が想定できるようになってきたら、今度は家の間取り図などを見せてもらいながら、退院後の生活をより具体的にシミュレーションします。家事に従事する人ならば、調理や洗濯などを実際にやってみたり、若い患者さんならば、職場復帰を見据えてバス乗降など通勤するための一連の動作の確認を行うこともあるそうです。

「病気になったり、身体機能を失ったりすると、『元に戻りたい』と思う患者さんがほとんどですが、障害が残るなど、元に戻れないこともあります。それゆえ、戻ること自体を目標にするのではなく、何のために訓練するのかを考え、生活に即した具体的な目標を立てることが重要になります。

そこで私は、患者さんと話し、その人自身がやりたいことを見つける過程も大事にしています。OTは養成課程で心理学や精神医学も学ぶので、患者さんの心の変化をキャッチできることが強みだと思っています。」

※この記事は取材先の業務に即した内容となっていますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。

 

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