女性の人権を守るために、性の正しい知識を伝える
~産婦人科医 北山 郁子先生~(後編)

性の正しい知識を伝えていく

:当時、生徒たちが性について知る機会は少なかったと思いますが、主にどんなことをお話しされてきたのでしょうか。

:男女の身体や性器について、解剖・生理の観点から正しい知識を伝え、性感染症や避妊、性暴力のことなども隠さずに全て伝えてきました。女性の身体は、一生のうちに大きく変化します。だからこそ妊娠・出産ができ、人間の歴史が続いてきたのです。ですから男性も女性も、女性の身体についてよく知り、特にセックスの場面では女性を大事にしてほしいと伝えてきました。

:性の話をタブー視するのではなく、正しい知識を伝えることは重要ですね。私も小児科医として、性感染症になった子どもたちを診察する機会がありますが、やはり自身の身体についてしっかりとした知識を持っていないことが多いです。子どもは感受性が強く、理解も早いです。正しい知識を持てば、自身で判断し、自身を守ることができるのではないかと思います。

:そうですね。女性の人権を守るという観点から正しい知識を伝えることは、女性医師だからこそできることではないかと感じています。

変化の多い女性の体を基本に

:私はアメリカの高校を出たのですが、アメリカの性教育の授業では、避妊の具体的な方法を学んだり、中絶のビデオを見て命の尊さを話したりしながら、生徒同士が活発に意見しあえる環境がありました。男女の性器の違いを知ることだけでなく、命そのものの尊さを知り、相手を人間として尊重することを学ぶのが、性教育なのではないかと私は思います。

:仰るとおりです。男性の身体を基本に、変化がなく健康であることが一番だと考えないでほしい。女性のように変化が多いのが人間の身体の基本であり、弱いときもあれば強いときもあるのが当たり前と考えてほしい、と私はいつも伝えています。

:はい。そうした考え方は、男女がともに働くうえでも大事ですね。お互いを当たり前に気遣える関係ができれば、本当に理想的だと思います。今日はありがとうございました。

 

語り手 北山 郁子先生(写真左)
医療法人北山会 北山医院 院長
産婦人科医

聞き手 自見 英子先生(写真右)
日本医師会男女共同参画委員会委員
小児科医