大学紹介
千葉大学
【教育】千葉大学のアウトカム基盤型教育
千葉大学 医学部 副医学部長 白澤 浩
本学は、グローバル・スタンダードの必須条件となっているアウトカム基盤型教育を本邦で最初に導入し、卒業時のアウトカムを定め、それを達成するための能力(コンピテンス)獲得を学習目標とした医学教育を行っている。このため、医学英語・研究室配属・プロフェッショナリズム・専門職連携教育(IPE)等は、6年一貫の教育プログラムとして構成されているのが特徴である。これら6年一貫プログラムの一部は、高学年での選択制となっており、高度な達成目標が設定されている。例えば、海外大学におけるクリニカル・クラークシップ留学希望者を対象とした医学英語アドバンストでは、英語による医療面接・身体診察・診療録作成・症例プレゼンテーションをアウトカムに設定し、ネイティブの医師による少人数教育が行われている。研究室配属は1年次から開始され、研究を継続させたい学生はアドバンスト・コースを選択することにより4年次以降も研究を続けることができる。また、医学部・薬学部・看護学部の医療系三学部が一つのキャンパスにある特性を生かしたIPEにおいても、1年次から4年次までの連続的なカリキュラムとなっている。また、スーパーグローバル大学等事業に採択された大学として、医学教育のグローバル化にも力を入れており、米国トーマス・ジェファーソン大学、ERの舞台として有名な米国イリノイ大学シカゴ校、韓国のインジェ(仁済)大学、タイのマヒドン大学、ドイツのシャリテ医科大学、ライプツィヒ大学との短期交換留学による臨床実習を行っている。医療系三学部が位置する亥鼻キャンパス敷地内には、野球グラウンド、サッカー・ラグビー場、テニスコート、弓道場、体育館を有し、看護学部・薬学部の学生が参加するサークル活動も多く、課外活動は活発である。
【研究】新しい体制で治療学研究を推進
千葉大学 大学院医学研究院 副研究院長 斎藤 哲一郎
本医学研究院は100年以上に及ぶ歴史と伝統の上に、「治療学」の創成と推進を最重点項目に掲げ様々な研究を展開しています。本学は、世界で初めて食道がんの手術法を開発した中山恒明博士や胃のX線二重造影法を開発した白壁彦夫博士、免疫学の発展に大きく貢献した多田富雄博士をはじめ、世界の医学・医療を牽引した多くの人材を輩出してきました。
近年では21世紀COEプログラム「消化器扁平上皮癌の最先端多戦略治療拠点形成」やグローバルCOEプログラム「免疫システム統御治療学の国際教育研究拠点」、博士課程教育リーディングプログラム「免疫システム調節治療学推進リーダー養成プログラム」などの事業を核として、ハーバード大学やケンブリッジ大学などの多くの海外トップ研究機関とも連携し、国際レベルで高い成果を数多く挙げています。また、臨床研究中核病院整備事業の「臨床研究中核病院」に指定された千葉大学医学部附属病院とともに、日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出に向けた研究も進めています。
特に、疾患における治療の理論的背景を明らかにし、新たな治療法を体系的に研究・実践する「治療学」という学問分野の確立と研究推進のために、基礎医学講座と臨床医学講座という旧態依然とした枠組みを取り払い、新しい研究体制を構築しました。つまり、基礎医学と臨床医学の61の研究領域を治療・研究の視点で5つの中核研究部門と4つの先端研究部門に再編し、基礎研究の「シーズ開発」から臨床研究へシームレスに移行できるシステムにしました。さらに、医学薬学府として薬学研究院と大学院教育や研究で緊密に連携し、多角的視点や俯瞰力を有するグローバルリーダーの養成と世界水準の研究展開に力を入れています。
【学生生活】臨床志向と研究志向、双方のニーズに応える手厚いカリキュラム
千葉大学 医学部 5年 大野 吉史
私はもともと京都大学の理学部で植物の研究をしていたのですが、研究を生涯の仕事と考えた時により直接人の役に立てる分野で研究したいと考え、千葉大学のMD-PhDコースへ編入しました。このコースは、通常の医学教育のカリキュラム履修と平行して研究室に所属し、卒後は医師免許取得と医学博士号取得を目指すものです。
千葉大には、通常のカリキュラムとしても「スカラーシッププログラム」という特徴的な研究医養成プログラムが用意されています。研究室配属を行う大学は多くありますが、必修で3年間、選択を入れると6年間の長期に渡って学生が研究を行うプログラムは珍しいものだと思います。私は分子ウイルス学教室で、主に乳幼児の気管支炎や肺炎の原因になるRSウイルスに対する創薬研究を行っています。また他学にないものとして、和漢診療科が挙げられます。これは東洋医学を用いて患者さんを診る診療科で、学生に対しても4年次に計10コマ以上の授業が用意されています。授業を受けると、診察時に患者さんの手の温度や汗、舌の色などを診るなどの独特なメソッドに驚かされます。
千葉大学のもう一つの特徴は、臨床実習で各診療科を回る期間が長いことです。他学の2倍の期間をかけて実習できる科も多く、合計1年半じっくり学ぶことができます。小児科は4週間の期間を大学病院と市中病院に分けて実習するのですが、私はRSウイルスの研究をしていることもあって、市中病院では小児のコモンディジーズを、大学病院では希少疾患を診られたのは貴重な体験だったと思います。
研究志向の学生には手厚いサポートプログラムがあり、臨床志向の学生には長期に渡る臨床実習が用意されている千葉大学は、多くの医学部受験生におすすめできる大学だと思います。


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