患者本位の医療を目指して
石田さんも、手術についても考えられるようになったみたいですね。
診療ガイドラインに沿って説明することで、患者さんと医師が同じ方向を向いて話し合えるようになったんですね。
それが伝われば私は嬉しいです。診療ガイドラインは、患者さんと医師が、標準的な治療法をシェアできるようにするものなのです。そしてそのことによって、患者さんと私たちの信頼関係を築いてくれるんですよ。
信頼関係、ですか?
そうです。インターネットが普及した現代、医師の仕事は昔に比べて大変になっていると思います。様々な医療情報があふれるなか、石田さんのように、目の前の経験の浅い医師を信頼できないという患者さんも少なくないでしょう。患者さんたちは、医師とのやりとりの中で、「この先生は信頼できるか」を判断しているのだと思います。
そうですね。特に若いうちは、最初から信頼してもらうのは、ちょっと難しいかもしれません。
そうなんです。だからこそ、診療ガイドラインを活用してコミュニケーションを積み重ねる必要があるんです。患者・医師間の信頼関係がまだ未熟であっても、「ガイドラインのことなら信頼できる」と双方が思えていれば、それを基盤としてコミュニケーションを取ることができます。そしてコミュニケーションが深まっていけば、信頼関係を築いていくことができますよね。
なるほど。診療ガイドラインは、患者さんと医師が共通のゴールに向かう道筋を話し合うための、地図のようなものに思えてきました。
地図として使えるかどうかは、皆さん次第です。ガイドラインを見せて、「この治療法が推奨されています」と問答無用で治療方針を決めるのでは、信頼関係は築けません。ガイドラインを使いながら、患者さんと一緒に考え、決めていくことが大切なんだということを、忘れないでほしいと思います。
- No.44 2023.01
- No.43 2022.10
- No.42 2022.07
- No.41 2022.04
- No.40 2022.01
- No.39 2021.10
- No.38 2021.07
- No.37 2021.04
- No.36 2021.01
- No.35 2020.10
- No.34 2020.07
- No.33 2020.04
- No.32 2020.01
- No.31 2019.10
- No.30 2019.07
- No.29 2019.04
- No.28 2019.01
- No.27 2018.10
- No.26 2018.07
- No.25 2018.04
- No.24 2018.01
- No.23 2017.10
- No.22 2017.07
- No.21 2017.04
- No.20 2017.01
- No.19 2016.10
- No.18 2016.07
- No.17 2016.04
- No.16 2016.01
- No.15 2015.10
- No.14 2015.07
- No.13 2015.04
- No.12 2015.01
- No.11 2014.10
- No.10 2014.07
- No.9 2014.04
- No.8 2014.01
- No.7 2013.10
- No.6 2013.07
- No.5 2013.04
- No.4 2013.01
- No.3 2012.10
- No.2 2012.07
- No.1 2012.04
- 医師への軌跡:木佐貫 篤先生
- Information:Summer, 2016
- 特集:患者と医師の関係を考える ~上手に使おう、診療ガイドライン~
- 特集:患者・医師間の情報格差
- 特集:協働的意思決定を行うということ
- 特集:診療ガイドラインを活用しよう
- 特集:患者本位の医療を目指して
- 特集:診療ガイドラインQ&A 教えて、山口先生!
- 同世代のリアリティー:「国」を動かす官僚の仕事 編
- チーム医療のパートナー:視能訓練士
- チーム医療のパートナー:義肢装具士
- 地域医療ルポ:高知県長岡郡|高橋医院・大田口医院 髙橋 雄彦先生
- 10年目のカルテ:心臓外科 山下 築医師
- 10年目のカルテ:心臓血管外科 原田 雄章医師
- 10年目のカルテ:呼吸器外科 濱中 瑠利香医師
- 医師の働き方を考える:やりたいことの近くにいれば、何歳からでも新たなスタートを切れる
- 医学教育の展望:大学と地域が連携し、地域医療を担う医師を育てる
- 大学紹介:札幌医科大学
- 大学紹介:帝京大学
- 大学紹介:京都府立医科大学
- 大学紹介:宮崎大学
- 日本医科学生総合体育大会:東医体
- 日本医科学生総合体育大会:西医体
- 医師会の取り組み:地域住民の健康を守る(姫路市医師会)
- 日本医師会の取り組み:JAL DOCTOR登録制度
- グローバルに活躍する若手医師たち:日本医師会の若手医師支援
- FACE to FACE:平田 まりの×前田 珠里