医療者のための情報リテラシー
情報化社会のシステムを知り、上手に活用するために
近年、みなさんのような若い世代で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上の交流がとても盛んになっています。ツイッターにフェイスブック、ミクシィ、グーグルプラス……。今では、ひとつも入っていないという学生さんは珍しいのではないでしょうか。
リアルな生活に当たり前のように組み込まれるようになったSNS。みなさんはどのように活用していますか? 今回は見落としがちなSNSの危険について考えたいと思います。
SNSは現実と地続き
フェイスブックでは、基本的に実名で登録することが求められますよね。日本では長いこと、2ちゃんねるのような匿名性のあるサービスが好まれてきましたが、世界の流れは確実に「ネット上でも実名」という方向に向かっています。
そんな中、SNS上での活動は、直接的に現実の生活に影響するようになりました。例えば最近のアメリカでは、就職活動のときにフェイスブックやツイッターをチェックされるそうです。差別的発言をしたり、前職についての悪口を書いたり、社会的によろしくない写真を載せたりしていると、採用されないわけです。
日本でも企業によるSNSチェックは増えています。ときには「友達」との交流の仕方まで見られることもあるとか……。それはさすがにどうかと思いますが、実名を公開して情報を発信する以上、内容には責任をもたなければならないということですね。
医療従事者にとってのSNS
みなさんにとっても、これは他人事ではありません。なにより、みなさんが書いた情報は、「現在医学生で、将来医師になる人が書いたこと」と捉えられるからです。学生であっても、社会からどのように見られているのか、意識する必要があるでしょう。
将来の問題もあります。仮に、学生時代に社会的に不適切な内容を発信したことがあったとしましょう。SNSなどの記録は、消したつもりでもどこかに残っている危険性が高いです。それがいずれ医師になったとき、患者さんの目に触れたら?
例えば、病気についてのちょっとした発言が差別的と捉えられてしまったり、10代で飲酒している写真を載せたといったことでも、あなたの信用が失われてしまったりするかもしれませんよね。
ほんとうに匿名?
さらに、匿名のつもりでいても、あなたが発信したとバレる可能性があるので、注意が必要です。例えば、SNSのアカウント名に普段使い慣れたもの(メールアドレスの@より前など)を利用していると、グーグルなどから簡単にあなたのページのURLを検索できてしまうのです。
また、SNSの「友達」が、あなたの発信したことを悪気なく引用しただけでも、状況によっては匿名でなくなってしまうでしょう。しかも、それを誰もが見られるようになってしまうかもしれません。実名で公開範囲を狭くした場合にも、同じ危険があります。
以上は、普段忘れがちなことです。是非こういったSNSの特性を理解した上で、情報を発信するようにしてください。怖がりすぎる必要はありません。きちんとした知識を持って使うのならば、SNSは楽しく便利なものですから。
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