学会の取り組み
日本整形外科学会の女性医師支援

多様な活躍の場で多様な働き方を受け入れる

女性医師支援等検討委員会の委員である鉄永先生に、お話を伺いました。

出産・育児を経験しつつ、働き続けたいと思っている医学生も多いと思います。今回は二人のお子さんを育てながら働く、岡山大学整形外科助教の鉄永倫子先生にお話を伺いました。

周囲の協力で働き続けられた

――先生は、日本整形外科学会の女性医師支援等検討委員会の委員と伺っています。

鉄永(以下、鉄):はい。委員会は2017年4月に発足しました。仕事と育児の両立を支援する仕組み、女性医師の声を学会に届ける活動を行っていく予定で、現在会員に対し現状把握のためのアンケート調査を行っているところです。

――先生ご自身は、育休を取得されたのですか?

:私自身は、少しでも多くの経験を積みたかったので、育休は取得しませんでした。産後も時短勤務という形はとらず、フルタイムで働きました。もちろん子どものお迎えなどはあるのですが、夫婦で同じ医局に所属しているので、どちらかがお迎えにいけるように取り計らっていただくことができました。

二人の子どもを育てながらも働き続けられているのは、周囲の協力があってこそです。別の部分で他の先生方のお役に立ちたくて、現在は講演会等を積極的に引き受けるようにしています。

活躍の場は未知数

――痛みがご専門だと伺いましたが、興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

:学生時代、大学の整形外科の医局や、リハビリテーション部に通わせていただいていました。そこで出会う高齢の患者さんたちはみんな腰や膝が痛いと言っていて、なんとかしてあげたいと思ったんです。地域での健診等に同行した際には、治療・リハビリを通じて患者さんが元気になっていく様子を、間近で見ることができました。辛そうな患者さんも笑顔で社会に戻っていけるような医療をしたいという思いが、私の原点です。整形外科というと手術のイメージが強いと思いますが、痛みの診察や骨粗鬆症の管理等も、とても大事な分野なんですよ。

――手術以外にも、様々な活躍の場があるのですね。

:その通りです。だからこそ、色々な働き方が考えられる診療科だとも思うんです。特に女性は出産・育児の時期がキャリアアップの時期に重なりやすいですが、整形外科なら、手術の部分は他の先生にお任せして、手術以外の治療を自分が担当する、という働き方もありえます。あるいは、出産・育児をしながら手術の経験をたくさん積みたいという場合も、手術を途中交代していただいたり、準備の部分は他の先生にお願いするというような働き方も可能でしょう。日本整形外科学会は、男女共に働きやすい環境を作っていけるよう支援活動を展開し、皆さんのキャリアアップや離職防止・復職支援のための仕組みを作っていきます。整形外科に興味があるけれど迷いがあったり、躊躇されている学生さんも、将来の進路として、積極的に検討してもらえたら嬉しいです。

 

鉄永 倫子先生

 

 

No.24