研修医・勤務医にできること

Q.日本医師会は診療報酬の改定に際して、研修医や勤務医のことも考えているのですか?

A.もちろんです。皆さんは今後の医療を担う貴重な人材ですから。

中医協には、医師の代表として日本医師会が推薦する3名の委員が出席しています。中医協には医療に関わる全ての職種の代表が参加できるわけではないため、日本医師会の委員は医師の代表としてだけでなく、医療チーム全体の代表として出席しているとも言えます。医学の進歩に対応し、新しい技術を保険適用にすることはもちろん、医療機関の経営が極度に苦しくなることを防いだり、これからの医療全体のあり方を考えながら、どの分野を診療報酬で高く評価するかを提案するなど、現場の医療の方向付けを行う役割も担っているのです。

しばしば日本医師会は、「開業医のための団体で、開業医に有利になる発言をしているのではないか」というイメージを持たれがちですが、決してそうではありません。

研修医や勤務医をはじめ医療機関における医療スタッフの人件費、医薬品・医療材料の購入費、さらには施設を維持・管理していく費用はすべて診療報酬の中から賄われています。

日本医師会は適正な医療費の中で国民が安心、納得できる過不足のない医療の継続的な提供を目指しています。そのため、医療の担い手である研修医や勤務医の皆さんにとって働きやすい環境作りを行っていくことも、日本医師会に課せられた重要な責務であると考えています。こうした考えのもと、医療に対する適切な評価が行われるよう、中医協の議論に臨んでいます。

 

Q.研修医や勤務医の意思を診療報酬に反映させることはできますか?

A.若い医師の参加によって、日本医師会はより交渉力を発揮できるようになります。

少子高齢化が進むなかで、医療費はますます増大しています。そのため国は、医療費を削減するために診療報酬を抑えようとしています。経営が厳しくなった病院や診療所も少なくなく、医療サービスを提供する側としては、決して風向きが良いとは言えないのが現状です。こうした状況を何とか改善すべく、日本医師会は診療報酬のプラス改定を目指して交渉を重ねています。なかでも特に「本体部分」と呼ばれる、医師の技術料や人件費にあたる部分が削減されることには、反対意見を強く述べています。実際に2018年度の診療報酬改定では、本体部分の0.55%プラス改定を実現することができました。

このように日本医師会が診療報酬改定に際して交渉力を発揮するには、大学病院から地域の診療所まで、全国各地の医師の代表として認められる必要があります。そしてそのためには、開業医だけでなく勤務医や若手医師、研修医など、様々な立場の医師の意見を吸い上げることが大切です。勤務医や研修医の勤務環境についての検討委員会を設けたり、ドクタラーゼのような媒体を活用して医学生との交流を図ったりしているのも、みなさんの声を制度や政策に反映するためなのです。

今後も日本医師会が医師を代表して、国や保険者などにしっかりと意見を主張していくためには、様々な世代の医師が会員となり、多様な視点から議論し、発信していかなければなりません。会費が負担にならないよう、研修医の会費無償化や、若手勤務医の会費減額も進めていますので、皆さんも研修医になったあかつきには、ぜひ日本医師会に入会していただき、共に医療を良くしていく活動を支えてください。