FACE to FACE

浅沼 翼× 及川 孔

各方面で活躍する医学生の素顔を、同じ医学生のインタビュアーが描き出します。

 

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及川(以下、及):浅沼さんは、多職種連携や総合診療に関するプログラムに参加したり、プライマリ・ケア連合学会で発表を行うなど、積極的に学外活動に参加されています。さらには、自分が外に出ていくだけでなく、福島に先生を招いて臨床推論の勉強会を主催するなど、福島に新たな流れを生み出してくださったパイオニアでもあります。そんな浅沼さんが学外活動に参加するようになったきっかけは何だったのですか?

浅沼(以下、浅):「飯舘村ごちゃまぜIPE」に、知り合いの先生からお声がけいただいたことです。そこで初めて、バックグラウンドの異なる医学生としっかり議論することは大きな学びになると気付きました。さらに、5年生の夏休みに参加した、千葉県の国保旭中央病院主催の勉強会も大きなきっかけになりましたね。軽い気持ちで参加したのですが、関東の優秀な医学生たちの姿勢や知識量にカルチャーショックを受けました。それまでは部活ばかりの生活だったけれど、「もっと勉強も頑張らないとヤバいぞ」と感じるようになったんです。それからは週末に関東に出かけ、できるだけ学内外での勉強の機会を増やすようになりました。参加したい勉強会が多くて、日曜の深夜バスで福島に帰ることも多々ありました(笑)。

:どうしてそこまで活動的になれるのでしょうか。

:僕より優秀な医学生はたくさんいますが、好奇心とフットワークの軽さは誰にも負けないと自負しているんです。そこに、勉強しなければという危機感が相まって、参加の原動力になっていると思います。これだけ外に出ていると授業は大丈夫かと心配されそうですが、能動的に勉強することで知識がつながるようになり、かえって授業や実習の理解も深まっています。

:自分が出かけるだけでなく、新たに福島で勉強会を立ち上げることにしたのはなぜですか?

:自分が外に出なければ参加できないのが嫌だなと思ったんです。それに、学内にある「わざわざ外に出なくてもいいや」「現状のままでいいや」という雰囲気にも、疑問を感じるようになりました。福島の学生が卒業後、ずっと福島で医療に携わるとしても、外の世界を知ったほうが様々な見方ができるのではと思いました。そこで、外の人と話すことで視野を広げ、外に目を向けるきっかけを作るためにも、福島でも勉強会を行うことにしたんです。それからは、お話を聴いてみたいと思う先生の勉強会には徹底的に足を運び、「福島でも勉強会をやりたいと思っている」と発信し続けました。すると、思いが伝わって、様々な先生が福島に来てくださったんです。こうした経験から、直接会うこと、面と向かって話すことの重要さを改めて実感しています。まさにFACE to FACEですね。

:浅沼さんの行動力には見習うことが多いです。そんな浅沼さんが、今後やりたいことは何ですか?

:個人ではなく、組織としてこの活動を継続させていくことです。それに向けて、学内の総合内科や地域医療の先生方にもお力添えいただきながら、サークルを作りたいですね。サークルでの活動をきっかけに、外との交流はもちろん、学内でも対話が生まれれば良いと思います。そこに他の医療系学生も巻き込めたらより素敵ですね。

:今後は僕たち後輩が、この流れを続けていきたいです。そして、卒業後の浅沼さんをぜひ先生として迎えたいですね。

浅沼 翼(福島県立医科大学6年)
1994年生まれ。山形東高校卒。4年生までは軟式テニス中心の生活。5年生から地域医療や臨床推論の勉強会に本格的に参加するようになる。6年生からは勉強会の開催、学会発表、IDATENサマーセミナー運営スタッフなど、多方面の活動に挑戦中。

及川 孔(福島県立医科大学4年)
今回、浅沼さんからお話を伺ってみて、身近にいる先輩の中でこんなにも目的意識を持って行動している方がいたのだという、新鮮な驚きを感じました。先輩のように、僕も思ったことはすぐに行動に移すように心がけようと思いました。

※医学生の学年は取材当時のものです。

No.28