授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【前編】
今回は埼玉医科大学「臨床入門1年 小中学校教育体験実習」
児童生徒とのコミュニケーションを体験
大学周辺地域の小中学校に二日間赴き、授業の見学や支援をするとともに、10分間の保健指導を行います。あらかじめ決められた保健指導のテーマに沿って、各学年に合わせた内容で資料を作り、発表します。
教育者の姿勢や思いを知ることができる
学校の授業や先生方とのコミュニケーションを通じて、教育者の視点を身につけることができます。この経験は将来、患者教育や地域の健康教育に携わることになった際にも役立つものとなるでしょう。
医師を志す気持ちを振り返るきっかけにも!
小中学校では、児童生徒に対して「なぜ医師になろうと思ったのか」を話す機会があります。医学部を目指した思いを改めて振り返ることは、勉強に対するモチベーションにもつながります。



(写真中央)聞き手に伝わるように、工夫を凝らした資料。
(写真右)子どもたちとの触れ合いによって多くのことに気付きました。
授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【後編】
INTERVIEW 授業について先生にインタビュー
地域に出る体験を通じて、学習意欲や医学生としての自覚を育みたい
「臨床入門1年」は「よりよい医療人」を目指し、医学への関心向上と基本的な臨床技能・態度の修得を目標として、1年生全員が履修する授業です。地域の高齢者施設や重症心身障害児施設、小中学校などに赴き、実習を行います。
その中の一つである小中学校教育体験実習は、①児童生徒との良好なコミュニケーションを実践する、②教育技法や教育者の姿勢・思いを知る、③青少年の発達過程、頻度の高い疾患、課題を知る、④保健指導を実践する、⑤地域を知る、⑥社会の期待に気付き、医学生としての自覚を持つ、⑦小中学生のキャリア教育に貢献するーーの七つを到達目標としています。保健指導にあたっては、児童生徒の心身の発達の特徴や取り上げるテーマについて事前に学習し、それらに留意しながら指導案を作成します。そして課外時間で資料を作成し、担当教員のチェックを受けたうえで実習に臨みます。実習後には子どもたちや先生方からアンケートを取って振り返りを行います。
早期に実習を行うメリットは、学習意欲や医学生としての自覚を育むことができる点です。1年生の授業は生物学や解剖学などの基礎的な内容が多いため、人との触れ合いが希薄になりがちです。社会とのつながりが減ってしまう学生もいます。そこで、社会を知り、医学生としてできることがあると気付いてもらうためにも、1年後期に実施しています。子どもたちの元気な姿に触れ、積極性を思い出す学生や、ヒューマンケアの重要性に気付く学生もいます。医学部に進んだ理由を聞かれ、初心を思い出す学生も多いです。このような体験を通じて医師を目指す気持ちを新たにし、ますます勉強に励んでくれることを期待します。
森 茂久先生
埼玉医科大学
副学長
柴﨑 智美先生
埼玉医科大学 医学教育センター
准教授
学生からの声
子どもたちの雰囲気を知ることができました
5年 伊藤 瑞也
1年生のうちから地域に出ることができたのはとても貴重な体験でした。普段なかなか接することのない年代の子どもたちと関わりが持てて、彼らの様子を垣間見られたのは良かったですね。この経験は、病院実習で小児科を回る際にも活かされたように思います。
「先生」の視点に感銘を受けました
1年 平岡 侑子
この実習で初めて、他者を守ることの責任の重さを実感しました。「今年1年、ただ生徒が安全に過ごせるように」という学校の先生の目標には心を打たれました。同時に複数の生徒を観察し、その安全を確保することは、ストレスとやりたいの両方を感じるのだと思います。
大人としての役割に気付きました
1年 門間 令夏
私が担当した特別支援学級は、生徒の学年も様々でとても活気のあるクラスでした。中学生は純粋で、大人よりも様々なことを吸収しようとするパワーに満ちていました。子どもの学習や思考の発達を手助けすることが大人の大切な役割なのだと気付きました。



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