これからの道 どう選び、どう決める?

10年目までの流れをみてみよう-(後編)

10年目までの医師のキャリア

多くの高度専門職が、一人前になるまでにだいたい10年かかる、と言われます。医師の「一人前」にも様々なとらえ方があるかとは思いますが、いったんは卒後10年目までのキャリアを見てみましょう。

目指す道にもよりますが、学部5〜6年から卒後10年目までの間に、幾度ものキャリア選択の機会があります。診療科や専門分野に関する選択はもちろん、どんな組織・機関で働くのか、臨床経験を積むのか研究に身を投じるのか…。さらに、結婚や子育てなどのライフイベントも複雑に絡み合ってきます。『梅ちゃん先生』にも、交際していた男性医師が研究のためアメリカに留学することを選択し、梅ちゃんとの別れを決断する、というシーンがありました。進路を決めるということは、ある意味で「他の選択肢を捨てる」ことでもあります。だからこそ、後悔することのないよう自分の納得のいく選択をすることが大切ですね。

ここでは、10年目までの大まかなキャリアの流れを示してみました。ここには書ききれないくらいたくさんの枝分かれがあり、ざっと見渡しただけでも無数の選択肢が存在します。一昔前は、大学に戻って学位を取るのがスタンダードだったキャリアアップのコースも、専門医制度が普及した今となっては一本道ではありません。インターネットの普及で、海外の文献も簡単に入手できるようになったことで、何となく留学しただけで「箔がつく」時代は終わりました。自分自身を医師としてどう磨いていくかは、もはや自分で調べ、自分で決めていかなければならないのです。

「自分はどうありたいか」を問う

10年目までのキャリアを見せられても、「今はまだ学生だし、将来のことなんてわからない」と感じるかもしれません。けれど、試験や実習に追われるうちに、いつの間にか選択のタイミングはやってきてしまいます。そんな時、限られた時間の中で「自分はどうありたいか」「自分には何が向いていて、何にやりがいを感じるか」などを考え、納得のいく選択をするのは簡単ではありません。就職活動をする一般の学生たちも、半年くらいかけて「自己分析」を行い、「自分はどうありたいか」について思いを巡らせながら、ようやく社会との関わり方を見つけていくのです。これからの医学生は、就職活動をする一般の学生と同様に、「自分が医師としてどう社会と関わるか」を普段から考える必要があるのです。

ここまで読んだ人は、「医師としてのキャリアを考えること」は、「臨床研修病院を決めること」だけではないことがわかると思います。学生のうちに様々な人に会い、先輩たちのキャリアについて話を聴き、自分の目標となる人やロールモデルを探してみて下さい。

著名なフランスの生化学者・細菌学者であるルイ・パスツールも「Chance favors the prepared mind.(チャンスは準備した者のもとへ訪れる)」という言葉を残しています。その「準備」のために、お二人の先輩の話を掲載しています。また、「10年目のカルテ」や「先輩医師インタビュー」といった連載記事も毎回提供しています。このような先輩の足跡が、みなさんがキャリアを考える参考になることを心より願っています。

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