交流ひろば

山本雄士ゼミ・ゼミ長を務めて 

2019年度山本雄士ゼミ ゼミ長 東京医科歯科大学医学部医学科3年 柏原 朋佳

山本雄士ゼミでは、山本雄士先生のファシリテートの下、月に1度日本橋で、ビジネススクール式のケースディスカッションを行っています。ケースディスカッションとは、ハーバードビジネススクールで用いられているケーススタディ(実在の事例研究)に基づき、山本先生の立てた問いに対し参加者同士がディスカッションして学んでいく手法です。山本先生は、医師であり、ハーバードビジネススクールでMBAを取得された後、現在は株式会社ミナケアで代表取締役を務めていらっしゃいます。ゼミ参加者は医学生に限らず、経済学部や国際教養学部の学生、医師、製薬企業や医療機器メーカーの方、薬剤師など、多様な業界の方々で構成されています。

山本ゼミは
①医療の世界の全体像を俯瞰する
②課題解決のための人や組織の動かし方を学ぶ
③正解のない課題に対峙する思考を訓練する
の三つを目的としています。

病院経営セミナー、医療政策セミナーではありません!!ディスカッションの方向性は、参加者の発言によって作られます。繰り返される「なぜそう思う?」や、「あなたならどうする?」という問いから、医療の“やりくり(=マネジメント)”を主体的に考え、ディスカッションするなかで、医療に携わる者として重要なスキルを身につけ、医療業界をリードする人材の輩出を目指しています。

私は、自分の価値観探しをする、医療を良くするために自分に何ができるか考える、といった、山本ゼミでしかできない体験そのものと、山本先生の人を惹きつける魅力から、山本ゼミの虜になりました。

その、「山本ゼミでしか得られない経験」の魅力を参加者の方に最大限実感していただくため、2019年度は、参加者にとって身近なケースを多く用い、ゼミで学んだスキルや思考の枠組みが、組織の中で、自身の生活の中で、活かされている実感を参加者に感じていただけるようになることを目指しました。

また、ケースディスカッションに加え、11月には「Precision Medicine時代の医療戦略」をテーマに外部講師をお招きした特別回を実施し、医療業界を展望する学びを得ることもできました。

4月から、金井祐樹ゼミ長(東京大学医学部医学科5年)の下、10年目のゼミが始まっていますが、毎回、参加者を募集しています。実際、毎回初参加の方がいらっしゃいますので、少しでも興味をお持ちになった方は、まず一度いらしていただけたらと思います。2020年度も、皆様のご参加をお待ちしております!!

 

医学教育に医学生の声を反映するための取り組み、始動。

東京医科歯科大学医学部医学科3年 因間 朱里、京都府立医科大学医学部医学科4年 磯邉 綾菜、富山大学医学部医学科3年 住吉 紗代子、東京医科歯科大学医学部医学科5年 石田 裕也、大阪医科大学医学部医学科3年 岡﨑 早也圭、高知大学医学部医学科3年 吉田 匠悟

医学教育を受けている医学生の皆さん、こんにちは。今、あなたは「医師になる」ために勉強しているはずです。しかし、「医師になる」道はぼんやりしたイメージや曖昧な見通しも多いものなのではないでしょうか。

本当は将来のこと、勉強のこと、あるいは部活のことなど、学生の間に知っておきたい情報はたくさんあるはずです。そして、このような疑問はあなただけでなくあなたの同級生、他大学の医学生、さらには過去の医学生たちも抱いてきたものでしょう。しかし、こうした医学生の需要は過去に蓄積されてきていませんでした。

全国の医学生の声を医学教育にうまく反映させるシステムができないか。医学生が知りたいことを蓄積できる仕組みを作ることができれば、医学生のリアルな需要に即したかたちへ医学教育を変えていく力が生まれるのではないか。そんな思いを持った先生方と有志の医学生7名で、2020年1月13日に日本橋ライフサイエンスビルディングにて医学生の声を医学教育に反映できるシステムの実現の第一歩として、ワークショップを開催しました。

ワークショップでは、医学生が意見を発信し、また、その情報を受け取るという双方向の仕組みについて考えました。たくさんの医学生から「こんなことを知りたい、こんなふうに学びたい」という声が集まれば、医学教育の決定に対して強い発信力が得られます。さらに、その情報を医学生全体と共有することで、学生自身がさらなる問いを発して医学教育に関わっていくことが期待できます。こうして、医学教育をより良いものにしていくために「医学生の今の声・生の声を知り、まとめ、発信する仕組みを作る」というビジョンを参加者の間で共有しました。

また、「医学生300人に質問ができるとしたら、何を聴きたいか?」というテーマで医学生として知りたいことを実際に洗い出してみました。その結果、「再試にかかったことがあるか」「CBTの時期はいつか、対策に使っている予備校はどこか」といった答えやすい質問から、「自分が学んでいることに意義を見出せているか」「医学部で受けるならどんな授業が良いか」などと答えるのが難しそうな質問まで、多様な内容の疑問が浮かび上がりました。参加者の一人ひとりがいくつもの「知りたいこと」を持っており、お互いの質問に対してさらに質問を投げかけるなど、この洗い出し作業は大いに盛り上がりを見せました。この試みにより、医学生は多くの疑問を抱きながら医学教育を受けていることが明らかになり、医学生が「知りたいこと」を集め、フィードバックすることに大きな需要があることが示唆されました。 

医学教育を受けている当事者は医学生です。積極的に発言する人だけでなく、今は受け身で医学を学んでいるような人まで巻き込んで、医学生みんなの意見を集めることが医学教育をより良いものへと変えていく。そう信じて、このワークショップをきっかけに、全国の医学生の声を医学教育にうまく反映させるシステム作りを目指す活動が始動しました。このプロジェクトに興味がある方はぜひぜひご連絡ください!

公式LINEアカウントID@837bcxrg

 

 

 

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