医療現場で感じた問題を解決するために、
政治を動かしていく
~産婦人科医・富山県議会議員 種部 恭子先生~(後編)

医師は弱者の代弁者

:先生の活動の今後の展望を教えてください。

:今後も地域の問題を解決し、住民の健康を守るためには、私が医療と政治とのパイプ役になり、医師会活動と県議会議員の仕事を両立することが必要だと感じています。ですから引き続き地方議員として実務を担うつもりですが、一方で変えるべきだと感じる法律もあります。もしそれらを変えようとする人がいなければ、いずれ国政に出ることもあるかもしれません。

また、後進の育成のために、仲間の議員と協力し、女性政治塾を始めました。いつか女性医師からも後進が出てほしいですね。私は、生活者の視点に立った声を上げることができる女性医師は、政治家に向いていると思うのです。私自身、立候補の際、自分の感じてきた問題を訴えることで、県民がどれだけ理解してくれるかを試したようなところがあります。結果は、自民党の候補者のうちトップ当選で、私に政治が必要だった理由を理解していただけたのだろうと感じました。「何をしたいのか」がはっきりしていれば、県民はきっと支持してくれます。

:最後に、医学生や若手医師にメッセージをお願いします。

:私の仕事の原動力には「怒り」がありました。昔の私はいわゆる非行少女で、大人や社会に反抗するあまり、はみ出していたのだと思います。でも、その頃に怒りや痛みを感じ、当事者として様々な理不尽さに気付けたことは良かったと思います。

実は、医師になってしばらく経った頃、高校生の頃に私にリベンジを誓わせた男性医師に会いました。驚いたことにその方は、当時の思いを直接ぶつけた私に謝られたのです。「僕たちには診察を受ける女性の気持ちはわからなかったし、今もわかっていないと思う。だから君が頑張りなさい」と。それ以来、様々な場で引き上げていただき、今の私があります。

皆さんも、これから様々な選択を迫られる場面があるでしょう。そのときはぜひ「楽ではない方」を選んでほしいです。なぜなら、その時に感じた痛みや苦しみを乗り越えステップアップしたとき、視野がぐっと広がり、次にやるべきことのために動けるようになると思うからです。

私は、医師の仕事は二つあると思っています。一つはもちろん病気を治すこと、もう一つは弱者の代弁者であることです。私たち医師が見る病気の背景には、遺伝や環境、社会のあり方など、様々な問題が隠れています。医師はそうした問題を抱えた方の代弁者として、声を上げていくべきではないでしょうか。その意味でも、色々な体験をした人が医師になるのは良いことだと私は思っています。

語り手
種部 恭子先生
産婦人科医、富山県議会議員

聞き手
小笠原 真澄先生
日本医師会男女共同参画委員会委員長(取材当時)、大湯リハビリ温泉病院院長