FACE to FACE 特別対談 西医体運営委員
牧田 大瑚 × 石田 健太郎
牧田(以下、牧):たまたま選ばれた西医体運営委員長でしたが、やってみたら想像以上に大変でした。石田君も宿泊委員長として、早い段階から西医体の準備に関わってくれました。
石田(以下、石):宿泊委員長はその名の通り、宿泊を取り仕切る仕事でした。西医体はとにかく規模が大きくて、合計2万人ほどの選手が参加するので、まずは約6万泊分のホテルを確保し、そこから実情に応じて泊数を絞り込みます。鳥取・島根の周辺ですべての競技を行うため、ホテルが足りなくなってしまうことが心配でした。これは他の地域では起こらない、山陰ならではの問題だと思います。旅行会社と綿密な調整を行わなければならず、苦労しましたね。
牧:運営委員長の仕事で大変だったのは、会議などで取りまとめた内容を各競技や各大学に伝えることでした。競技も大学も多いうえに、各競技にはそれぞれ現場を仕切る委員がいるので、皆が自身の役割を果たそうとすると、視点の違いから様々な齟齬が生まれてしまいます。僕は運営委員長として全体を見通し、調整役に徹しなければならないのですが、現場の意見との温度差を感じることもありました。意思疎通をきちんとできている実感がなく、僕の言っていることは机上の空論でしかないのでは? と思ってしまうこともあり、難しかったです。
石:新型コロナウイルス感染症の流行が始まったのは、2月ぐらいからでしたね。
牧:その時点では「まだ開催できるのではないか?」と思っていたのですが、3月頃から雲行きが怪しくなっていきました。会議をオンラインで行うための調整をしたりと、普段通りにはいかないなかで運営を進めるのは、とても大変でした。「開催しないかもしれない大会のために、どうしてこんなに頑張らなければならないのだろう」と虚しくなることもありました。
石:4月の理事会で中止が決まり、それからはキャンセルの手続きに追われました。競技会場は公営なので問題なくキャンセルできたのですが、宿泊に関しては、西医体全体としての契約書類があったわけではなかったため、手続きが大変でした。
牧:大会が開催できなかったことは残念でしたが、それでも今回の経験を通じて、運営委員同士の結束は強まったと思います。
石:皆で協力して、助け合いながら進めることができたのは良い経験になりましたね。今の状況では難しいですが、落ち着いたら打ち上げもしたいです。
牧:今回、お世話になった旅行会社の方に「仕事ができるかどうかは立場が決める」という言葉を教わったのですが、こうして運営委員長をやってみて、その意味を身をもって知ることができました。責任ある立場に立ったらとりあえずやるしかないし、やってみたら意外となんとかなるのだと学びました。
僕たちは、今は学生なので、学校の勉強と部活を頑張っていれば良いのかもしれませんが、社会人になったらもっとやるべきことも増えていくと思います。でも、そうなったときにも、立場に応じて役割を全うできるようになっていくだろうと、自信をつけることができました。
石:そう考えると、西医体理事長の中村廣繁先生はすごい方だなと改めて思います。
牧:中村先生は自分の仕事もあるのに、西医体のことを親身に考えて相談に乗ってくださいました。大事なところで信念を貫き通す姿は格好良かったです。僕も先生のように頼りになる大人になりたいと思います。
牧田 大瑚(鳥取大学4年)
1998年埼玉県生まれ。埼玉県立浦和高校卒。大学ではラグビー部に所属し、ウェイトトレーニングに打ち込む。
石田 健太郎(鳥取大学4年)
1998年鳥取県生まれ。鳥取県立米子東高校卒。元陸上部。現在はフットサル部に所属。大学在学中にフルマラソンを完走することが目標。
※医学生の学年は取材当時のものです。
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