授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【前編】
国際医療福祉大学「Journal Club Presentation」
英語の医学論文を効率的に読むコツがつかめる!
原著論文全体の構成を知ることで、情報の取得を最優先させた読み方を学びます。最初に抄録、次に考察をパラグラフリーディングすることで、研究の背景や方法、結果とその解釈を読み解き、論文の要点を把握します。授業はすべて英語で行われます。
論文の価値や書かれた背景について学べる!
学術誌の編集後記に書かれた原著論文の批評や、読者からの手紙と著者の回答が載る通信欄、学会発表のレポートや著者のSNSなどを調べることで、研究の価値やその論文が社会に与える影響を知ることができます。
最後の授業はプレゼンテーション!
授業で学ぶステップ通りに原著論文を読むと、抄読会での発表の準備も効率的にできるようになります。最終授業では3人一組になり、興味のある原著論文を選んで、一人15分で英語でプレゼンテーションを行います。
(写真中央)論文を読みながら発表のためのスライド作りも行います。
(写真右)コロナ禍以降はソーシャルディスタンスを確保しながらマスク着用のもと発表しています。
※このページの写真は2018年に撮影されました。
授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【後編】
INTERVIEW 授業について先生にインタビュー
新設の大学だからこそ、日本の医学教育を変えるきっかけになる授業を行いたい
国際医療福祉大学では、最初の2年間は基礎医学と臨床科目をすべて英語で学びます。本学の学生は6年次に海外での臨床実習が必須ですが、初めからすべての学生の英語力が高いというわけではないため、医学を英語で学ぶための準備を行います。2年生の必修科目である「医学英語」は、医師としてのコミュニケーションを英語でできるようにするための授業で、「Journal Club Presentation」はこの一環で行われている全8時間の授業です。
この授業では、論文全体の構造を理解することで最小限の労力での読み方を習得できるため、英語論文を読むことへの抵抗感が少なくなります。また、学術誌の構成も理解できるようになります。授業で学んだ読み方は、上級生になって論文を読むときにも、将来自分が論文を書くことになったときにも役立つでしょう。
この授業には、英語論文を読むことが嫌いだった私の経験が反映されています。自分が学生時代になかなか理解できなかったことや、誰かに早く教えてほしかったと思ったことを学生に伝えています。
今の医学生は、私たちの頃よりも学ばなければならないことが増えているため、少しでも先人の知恵を伝えていきたいと考えています。英語を理由に学生たちの将来の選択肢が狭まることがあってはならないので、この授業を足掛かりに国際的に活躍していってほしいと思います。
日本の医学部では臨床や研究が第一で、教育が後回しになっている部分があります。本学は新設の大学である点を活かし、学生が主体的に学べるような授業を実施できるよう、試行錯誤しています。将来的に卒業生が医学教育に従事する立場になれば、日本の医学教育も少しずつ変わっていくのではないかと期待しています。
押味 貴之先生
国際医療福祉大学 医学部 医学教育統括センター 准教授
立命館大学国際関係学部国際関係学科卒業。旭川医科大学医学部医学科卒業。マッコーリー大学大学院通訳翻訳学科修了。
学生からの声
臨床実習で学びを活かせました
5年 宮下 渚
英語論文の授業と聞き、最初は不安でしたが、読み方を一から教えてもらえるのでしっかり読めるようになり、最後の発表では互いの発表内容をしっかり理解することができました。英語での発表に自信がつき、昨年の臨床実習では英語で論文の抄読会を行うことができました。
治療方針の提案ができました
4年 佐藤 聡美
授業で習ったステップに則ってスライドを作成すると、思っていた以上に簡単にプレゼンテーションができると感じました。今年から出ている臨床実習でも、授業での学びを活かして多くの論文を読み、よりエビデンスの高い論文から患者さんの治療方針を提案できました。
英語論文への不安が消えました
2年 千里 知悠
日本語の論文も読んだことがなかったため抵抗がありましたが、最初に論文全体の構成を掴むという読み方を教わってから、とても読みやすくなりました。抄読会でどのような質問をされやすいかなどの実践的な知識も得られるので、将来の役に立ちそうだと期待してします。
※取材:2021年8月
※取材対象者の所属は取材時のものです。
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