
関東労災病院(理学療法士) 若林 知恵子さん
身体の運動機能と動作能力を評価する

リハビリテーションに携わる職種は多くありますが、なかでも理学療法士がどんな仕事をしているか、具体的なイメージは湧きにくいのではないでしょうか。そこで今回は理学療法士の仕事について、関東労災病院中央リハビリテーション部の若林知恵子さんにお話を伺いました。
「私たちの仕事は、まず患者さんの運動機能の評価から始まります。例えば関節の可動域や筋力、温痛覚・圧覚などの感覚を診て、患者さんの身体のどこに問題があるのかを評価します。関節に問題がある場合と筋肉に問題がある場合ではアプローチが異なるので、医師の診断も踏まえて原因まで評価する必要があります。」
機能の評価を行うと、次は「座る」「歩く」といった複合的な動作能力の評価が行われます。この機能と動作能力の評価に基づき、治療プログラムを作って実施していくのです。
生活に即した目標を立て運動を進める
リハビリを始める時にはまず「立ち上がってバランスを取る」「トイレまで歩いて行く」といった、日常生活に即した目標を立てます。自宅に復帰するために必要な動作は患者さんによって違いますし、「帰る」ための具体的な目標を設定することが、リハビリへの動機づけにもなります。
また理学療法士は、時として患者さんの自宅復帰後の生活スタイルを提案したり、あるいは手すりをつけたり段差をなくしたりといった家の間取りを決める際にアドバイスをしたりします。そのため、患者さんの家族とも積極的にコミュニケーションを取って、信頼関係を築いていく必要があります。
「今まで自立した生活をしていた患者さんが突然自立できなくなると、大きな不安を抱えてしまいます。そうした患者さんが無理のない生活を取り戻すためには、ご家族の理解と協力が必要なんです。」

画像や数値からは見えない身体の情報を把握
理学療法士は身体の動きのエキスパートです。治療のなかで、レントゲンや検査の数値からは見えない患者さんの身体の特徴や状態を把握しています。手足が上がりにくい患者さんの画像診断をしてもらったところ、病気の再発が見つかったこともあったそうです。
「常に情報交換できる先生は信頼ができますし、リハビリの様子を見に来てくれる先生とは連携を取りやすいですね。こちらも手術の時の様子を聞けるので、そういう情報が交換できるのも有り難いです。ベッドで寝ている時とリハビリ室でリハビリをしている時では患者さんの顔も違うので、そういうところも見に来てもらいたいですね。」
※この記事は取材先の業務に即した内容となっていますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。



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