子育て支援が医局を活性化する
〜名古屋大学小児科の子育て支援制度〜-(後編)

医局員が増えることで研究も盛んになっている

対談

伊:もう一つのユニークな点は、制度を利用するためには医局に入局してもらうという点ですね。実際、入局は増えましたか?

小:そうですね。増えているというデータも出ていますし(図2)、「女性医師支援制度があるから」という理由で入局したという方も5人ほどいました。

伊:医局員が増えて、様々な形で働く女性医師が増えれば、それだけ余裕も生まれますよね。

小:はい。実はこの10年間で日本の小児科全体の論文が減っていることが小児科学会で非常に問題になっているのですが、少なくとも名大小児科では英文の研究論文もだいぶ増えてきているんですよ(図3)。

伊:子育て支援制度によって、医局員が増え、業務負担が減って研究が盛んになるという好循環が生まれているのですね。

図2

専門性の高い女性医師を育む

伊:今後の展望について教えて下さい。

小:今後どういった方がこの制度を使われるか考えてみると、いろいろな可能性があるのではないかと思います。

まず、若くてキャリアが浅い先生の場合、子どもを産んでからも臨床経験を積むことができるので、小児科の専門医資格をとるための経験年数を満たすこともできます。これは女性のキャリア形成という点で非常に大きいかと思います。

また、逆に大学院などで専門性を高めた先生がこの制度を使って関連病院に出て、専門外来の担当として働く道も考えられるかと思います。小児科としては特に、サブスペシャリティとしてアレルギーや神経を専門的に学ばれた方は非常にニーズが高いので、この制度を利用してもらうと、病院側としてもメリットになりますね。

先ほど論文の数が増えているという話をしましたが、実はこの制度を導入してから、大学病院における小児科の病床稼働率や、入院収益も増えているんです。すべてがこの制度のおかげということではないのかもしれませんが、研究・診療・教育の三つに対して、いい方向に効果が出ているのかなと感じています。

伊:今後の益々のご発展を期待しております。ありがとうございました。

語り手:小島 勢二先生
名古屋大学大学院医学研究科 健康社会医学専攻 発育・加齢医学講座
小児科学 教授
聞き手:伊藤 富士子先生
日本医師会男女共同参画委員会委員
愛知県医師会理事
出典:図1 小島教授提供の資料より/図2・図3「名古屋大学医学部小児科教室同門会(順清会)会報 第44号」より抜粋