大学紹介
熊本大学
【教育】熊本大学医学部学生の教育
熊本大学大学院生命科学研究部 神経内科教授
熊本大学医学部 医学科長 安東 由喜雄
熊本大学医学部では、コア・カリキュラムに基づくCBTとOSCEの導入、改革など全国的な医学教育改革の潮流のなかで、教育・専門科目のカリキュラム改変が強力に進められ、近代的な医学教育システムの構築が完成されつつあります。
まず入学後2年間を中心に基礎医学について座学のみならず実習をふんだんに取り入れた講義を行い、3年目には、約3か月にわたり、基礎の教室及び臨床サイドから希望のあった教室で基礎医学や臨床の疾患を基点深くその病態・病因を掘り下げるトランスレーショナル・リサーチを行う期間を設けております。教室によっては海外の共同研究を行っている教室に派遣し、研究をしてもらうシステムを取り入れているケースもあります。そこで得られた研究結果を基に、国内外の学会で発表をする学生も増えて参りました。4年生から始まる臨床系の科目の系統講義を経て、5年生からポリクリ実習、5年生の冬からはクリニカル・クラークシップを行っております。6年生の夏まで、3週間ごとの6タームを学生の希望に応じて各臨床系の教室に振り分けております。この間、教室によっては、国内外の病院実習に派遣したり、教室の関連病院に派遣し、医師としての見識・経験を広めて頂くよう計画しています。医師国家試験は、これまで本学は比較的放任に近い状態でしたが、合格率が思わしくないため、各臨床の教室に専門のチューターを選任して頂き、疾患についての疑問点や、問題の解き方などをコーチしてもらうシステムを構築したところです。
本学は、部活も盛んで、よく学びよく遊ぶタイプの学生が多く、特に最近は文化系の部活と体育系の部活を兼部するものが多くなって参りました。
現在は、医学教育の国際認証を受けるべく、その要求に沿った最新の教育カリキュラムを作成中です。
【研究】熊本大学大学院・生命科学研究部(医学系)における研究活動の特色
熊本大学大学院医学教育部 副教育部長 西村 泰治
私どもの大学では、平成15年度に大学院教育の重点化に伴い、医学部医学科ならびに大学院医学教育部により構成される学生の教育組織を教員の研究組織である大学院生命科学研究部(旧大学院医学薬学研究部)より分離し、最先端かつ国際的な研究とこれに基づく優れた教育を実施する体制を整えました。そして以下のような教員・大学院学生によるユニークな教育研究活動を行っています。まず発生医学研究所との連携により、発生再生医学の基礎研究と、細胞と臓器の再生・再建医療への臨床応用に向けた研究では、ES/iPS細胞を用いた難治性疾患の治療法の開発で成果を挙げつつあります。またエイズ学研究センターとの連携により、HIV感染症の基礎ならびに応用研究を実施し、エイズ治療薬を複数開発し臨床応用に供しています。このような優れた基礎研究成果に基づくTranslational Researchが着々と進行中です。さらに悪性腫瘍や臓器移植、代謝循環器疾患、脳神経系疾患ほかに関する、基礎ならびに臨床研究を精力的に実施しています。
また、これらの特色ある研究拠点を生かした大学院教育を遂行し、特に若手研究者の海外派遣を推進すると共に、海外から留学生を積極的に受け入れ、国際的センスを有する優れた人材育成を行っています。これらの教育・研究は、従来の「グローバルCOE」2件、「大学院教育改革プログラム」ほか多数の大型外部獲得資金により支援され、平成24年度には「博士課程教育リーディングプログラム:グローカルな健康生命科学パイオニア養成プログラムHIGO」が、平成25年度には「卓越した大学院拠点形成支援補助金」および「研究大学強化促進事業(Research University-22)」の支援対象機関にも採択され、ユニークな国際的教育研究拠点を形成し発展させています。
【学生生活】九州の真ん中で、部活も勉強ものびのびと
熊本大学医学部医学科 3年 寺尾 祐香
私は熊本大学ALS部を中心に、部活を5つ兼部しています。休みの日はALS部の活動で、全国の大学で行われるワークショップに参加するので、熊本にいないことも多いです。熊大でも大人や乳児のBLSについてワークショップを行っているほか、「チーム医療」や「山岳医療」など各々が関心のあるテーマについて発表して、救急に役立つ周辺知識を身に付ける勉強会も最近始まりました。学外ではボーイスカウトの訓練に参加しているんですが、ボーイスカウトの子たちは大学生のお兄さんお姉さんが来るとテンションが上がるみたいで、もうお祭り騒ぎです(笑)。
熊大の3年次は部活や学祭の実行委員などに打ち込む時間があって授業以外もかなり充実していますが、4年生になるとCBTとOSCEに加えてポリクリ前試験が各科にあるんです。それまでに学んだ全ての分野で試験があるため、夏休みの前後3か月は毎日試験という感じで、まるでプレ卒試のようです。また2012年度から熊本出身の北里柴三郎先生にちなんで、「柴三郎プログラム」という熊大独自の取り組みが始まりました。このプログラムに参加すると、初期研修をしながらeラーニングで大学院の授業も受けられて、卒後4年で研修と大学院の両方を修了できるんです。「女性柴三郎コース」というのもあって、出産や育児の休暇中もeラーニングで勉強を続けられます。これは私のイメージですが、基礎か臨床のどちらか1つをすぐに選ばなければならない訳ではなくて、長いスパンで自分のキャリアを考えながら、必要に応じてどちらにでも挑戦できるように考えられたプログラムなんじゃないかと思います。
熊本には阿蘇山もあるし、海もあるし、温泉もある。地理的にも九州の真ん中で、都会過ぎず田舎すぎず、遊べるけどちょっと田舎っぽく暖かいところもある。そのバランスはすごくいいなって思っています。
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- 医師への軌跡:曽田 学先生
- Information:October, 2013
- 特集:在宅医療 患者の「居場所」で行う医療
- 特集:ケース・スタディ 在宅医療の現場から
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- 特集:在宅医療に携わる様々な医師
- 特集:在宅医療を支援する仕組み
- 特集:スタディ・ツアーを終えて
- 同世代のリアリティー:芸術の分野で生きる 編
- NEED TO KNOW:患者に学ぶ(周期性ACTH-ADH放出症候群)
- チーム医療のパートナー:医療ソーシャルワーカー
- 10年目のカルテ:呼吸器内科 光石 陽一郎医師
- 10年目のカルテ:呼吸器内科 武岡 佐和医師
- 医師会の取り組み:沖縄県医師会医学会賞(研修医部門)
- 日本医師会の取り組み:産科医療と医師会
- 日本医師会の取り組み:医療における消費税問題
- 医師の働き方を考える:産科医としての臨床経験を活かし、公衆衛生の分野で管理職として働く
- 医学教育の展望:救急を基盤とした研修で大学と市中の両方を経験
- 大学紹介:弘前大学
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- 日本医科学生総合体育大会:東医体
- 日本医科学生総合体育大会:西医体
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