練馬区光が丘保健相談所 保健師 本間 紀子さん
久須美 里美さん
みる・つなぐ・うごかす
保健相談所の中に入っていくと、受付前のソファーに座って妊婦さんと面接をしているスタッフがいます。母子健康手帳を受け取りに来た妊婦さんが初めての出産について不安を抱いているようだったので、保健師が相談に乗っていたのです。このように、予防医療の観点から地域住民と医療機関の橋渡し的な役割を担うのが保健師です。今回は東京都練馬区光が丘保健相談所の行政保健師である本間紀子さんと久須美里美さんにお話を伺いました。
保健師は、看護師の資格を持ったうえで専門の養成課程を修了して得られる国家資格です。その仕事は、学校で児童・生徒の健康サポートを行う学校保健、企業に所属し労働災害の防止やメンタルヘルス等の対策にあたる産業保健、そして各種行政機関で地域の健康づくりに携わる行政保健の3つに大きく分けられます。
「行政保健師の仕事はよく『みる・つなぐ・うごかす』ことだと言われます。健康に問題がある本人だけでなく、その家族や地域全体の健康度を見極めて、必要としているサービスや医療機関につないでいく。そして最終的には住民とともに動き、健康を守る支援をするのが私たちの役目なんです。」
練馬区の保健相談所は地区担当制をとっており、保健師がそれぞれの担当地区ごとに住民の相談に応じています。そのため、例えば育児の相談に対応したら、その家庭のおじいさんからは以前から介護サービスについて相談を受けていた、というようなケースも多いそうです。それぞれがどういう状況にあるのかを把握しながら、家族全体の健康問題を解決できるのも保健師の強みだと言います。
地域の健康を共に支える
勤務医と関わることは多くはないですが、地域の開業医、特に小児科の医師とは健康診断の際にしばしば連携し、また精神科医とは患者さんの退院前からカンファレンスを通じて退院後の生活について相談することも多いと言います。特に精神科の患者さんについては、本人だけでなくその家族が心理的な負担を感じるケースも多いため、保健師が家族まで含めてケアしています。
「医学部の授業で保健師の業務が扱われることは多くはないでしょう。でも、例えば将来開業したとき、その地域の医療事情が分からないという場合には、近くの保健所を訪ねていただければと思います。私たちは日頃からその地域に暮らす住民の方々から様々な相談を受けて、それを適切な相手や機関につないでいます。私たちを一つの社会資源と考え、お互いが連携すれば、地域住民の方々のニーズに沿った医療を提供する体制を築くことができると思います。」
※この記事は取材先の業務に即した内容となっていますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。
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