一人でもたばこを吸っている人がいたら、家族全員の健康が害されることになります。
たばこを吸う夫の妻は、夫からの受動喫煙がない人に比べて肺がんのリスクが1.3倍になり13)、家族に気を使って換気扇の下で喫煙していても、子どもの尿からは大量のニコチン代謝物が検出されたというデータ14)もあります。同じ空間では、完全にたばこの煙をシャットアウトすることは現実的に不可能です。大切な家族や周囲の人を守る手段はただひとつ、禁煙なのです。
13)Kurahashi N, et al. Int J Cancer. 2008; 122: 653-7.
14)Johansson A, et al. Pediatrics. 2004; 113: e291-5.
今、受動喫煙で問題視されているのが、ホテルや飲食店などで長時間働く従業員の職業的な健康被害です。大学生や高校生など、未成年者がアルバイトとして働く店舗も多く、特に若い女性従業員が受動喫煙の影響を受けると、将来的に不妊や低出生体重児、出生後の乳幼児突然死症候群など、胎児や乳幼児にまで悪影響を与えます。日本が少子化の中で、子どもの健やかな成長を社会全体で支える環境をつくるためにも、諸外国で実施されているような法律・条令による全面禁煙が求められています。
大気汚染の原因としてよく耳にするPM2.5は、直径2.5μm未満の微粒子。
たばこの煙もPM2.5です。
日本禁煙学会: 受動喫煙ファクトシート 2 敷地内完全禁煙が必要な理由. 2010 より作図