健康交差点No.44 エッセー 診察室から 前号 目次 次号
健康オタク!?
辰巳郎(俳優)

 いやはや世の中いつの間にやら大変な健康ブーム。やたらと増えた食番組のなかでも、「ヘルシーですねぇ」という言葉を聞かない日はありません(私は極力言わないようにしてますが……)。雑誌にも、その手の記事が大氾濫。「長く生きるよりも、どう生きるかの方が大切ではないですか?」と思わず突っこみを入れたくなります。困るのは、間違った情報の一人歩きや、全体を把握していないがために生ずる誤解の数々。

 例えば、「油は敵」と盲目的に信じ、オレイン酸やリノレイン酸が人体に必要な栄養素であることを知らない人が、いかに多いことでしょう。オリーブオイルやひまわり油ではなく、健康を謳っている合成オイルに思わず手が出てはいませんか? あるいは漢方薬だから副作用はない、なんて迷信も広く信じられているようです。これは例えば、有機無農薬だから美味しい、という論理の飛躍とよく似ているように思います。餅は餅屋、ワインはソムリエ、病気のことは医師に、薬のことは薬剤師にきちんと教わるべきでしょう。なんてことを書く私の方が、よっぽど健康オタクでしょうか?

診察室から 世界に誇る日本の皆保険制度(3)

 今回は、市場原理を導入している米国の医療制度と比較しましょう。医療費は国内総生産(GDP)比で日本の2倍もかかります。

 公的保険は高齢者保険(メディケア)と貧困者保険(メディケイド)があるだけで、米国民の多くは民間保険に加入しています。

 しかし、民間保険に加入できない未保険者が4千万人近くいて、病気になっても医療が受けられないケースも多いのです。さらに、民間保険では掛け金の額で提供される医療の内容が異なり、十分な保障を受けられないこともあります。

 日本の公的保険制度がいかに優れているか一目瞭然です。

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