日医ニュース 第851号(平成9年2月20日)

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宮崎市郡医師会病院の現状と問題点

 宮崎市郡医師会病院は入院治療を主体とした医師会員が利用する共同利用型病院である.このたび機会を与えられたので,この病院に勤務してやがて10年目を迎えようとしている一勤務医からみた医師会病院の現状と問題点について述べてみたい.

病院の概要

 宮崎市郡医師会病院は,地域医療の充実と救急医療の確保を目的に昭和59年4月に開院した.診療科目は内科,外科,心臓血管外科,整形外科,産婦人科,放射線科,麻酔科で24名の常勤医が勤務している.昨年6月には心臓血管外科用の手術室と12床の集中治療室からなる新館病棟が完成し,病床数が218床となるとともに本格的な循環器領域の診療ができるようになった.
 病院のある宮崎市は人口300,000の地方中核都市で,周辺の宮崎郡を含めた人口は400,000弱である.この地域に600床規模の県立病院,医大付属病院があり,あとは200床規模の病院が4カ所あるが,外科の立場からみると,本院は数少ない外科学会の認定施設の1つで,宮崎市および宮崎郡のなかで県立病院,医大付属病院に次いで3番目の施設認定を受けている.
 本院の運営方針は,常時患者を収容,治療できる体制をとり,転送患者をすべて受け入れるというもので,診療は医師会員と病院勤務医との共同診療とし,一般外来を置かない入院治療を主体とした共同利用型病院である.

医長の役目

 本院の医師は,他の公的病院に勤務する医師と異なり,共同診療という他ではみられない形態の診療に従事しなければならない.
 ところが,医育機関で育った医師は地域の医師会員と接触する機会が乏しく,相手の立場をよく理解できずにトラブルを起こすことがしばしばある.こういうことは医育機関で教わることではないかもしれないが,人間社会の常識をわかっていない非常識医が多いのも事実である.医師会員とお互いに相手の立場を尊重しながら診療していくには,ただ医師としてだけではなく1人の人間としての技量が求められる.
 医長には,指導力はもとより豊かな人間性が求められるが,医育機関からローテーションで回ってくる部下の医師については,医長はいい人材を派遣してもらうよう常に母教室と連絡を取りあって意見を交換し,ときには注文を付けるなどして必要な人材を確保するのが医長の務めであり,医長たるゆえんであると思われる.

勤務医の仕事

 医師会病院に勤務する医師は,日頃の診療だけで満足してはならない.必要なマンパワーを与えられているのであるから,それを十二分に活用するだけでなく,常に関連学会に参加して最新の知識を得るとともに,自分たちの治療成績を公表して批判を仰ぎ,治療成績の向上に努めなければならない.
 幸いにも,本院では2年未満の勤務医は6カ月ごとに1回,2年以上の勤務医は年に4回の学会出張が認められているので,必要な学会活動をすること,また,学会認定医や指導医の更新に必要な単位数を確保することが可能であり,大変ありがたい制度であると思っている.学会で得た知識は,日常の診療に役立てるだけでなく,できれば医師会員にも披露して,地域全体の医療レベルが向上するよう役立てられれば理想的である.
 医師会病院に勤務する医師は,勤務医である特権を大いに活用するとともに,地域医療の発展にも寄与できるよう微力を尽くさなければならないと考える.

医師会員の動き

 宮崎市郡医師会でも最近,無床で開業する会員が増加している.入院が必要な場合は,病院の運営方針からわかるように,医師会病院を利用するのが一番便利であるため,今後ますます医師会病院の役割がクローズアップされるものと思われる.母教室でも開講20周年を過ぎ,ここ1,2年の間に開業する医局員が増加している.10年以上のキャリアをもって外科胃腸科で開業しても,やはり手術となるとリスクも考えて,医師会病院でということになり,共同診療という形が最も理想的であると思われる.
 われわれ医師会病院の勤務医は,やがては自分たちも医師会員となり,病院勤務医のお世話になるのだから,この共同診療という形態を嫌がらずに,お互いに相手から学びながら自分の技量を向上させることが重要で,単に医療だけでなく社会勉強のつもりで,有意義な勤務医生活を送りたいものである.

むすび

 開院以来,順調に経過し,やがて14年目を迎えようとしている宮崎市郡医師会病院の現状と問題点を病院勤務医の立場から述べてみた.医師会病院の役割は今後ますます重要となりつつあり,近い将来,ベッドの不足する事態を招きかねない.次のさらなるステップが必要であると考えられる.

(宮崎市郡医師会病院外科医長 島山俊夫)


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