日医ニュース 第873号(平成10年1月20日)

中医協

3団体が政治決着に反発

支払側の抵抗は必至


 今回の中医協の論議は、「診療報酬改定」と「医療費国庫負担縮減」という2つの相反する問題への対応をめぐって、診療・支払両側の議論が激突し、政府の予算編成期限のぎりぎりに至っても、もつれにもつれて、ついに政治的解決が図られることになった。

 しかし、支払側のレジスタンスはその後も続いており、平成9年12月22日には、日本経営者団体連盟・日本労働組合総連合会・健康保険組合連合会の3団体の連名で、次のような要旨の「平成10年度医療費関連予算案に対する共同声明」を発表した。3団体の声明は、今回の中医協での紛糾の激しさを象徴するとともに、今後の中医協での診療報酬や薬価の具体的な決定の際の頑強な抵抗を予告しているといえよう。したがって、中医協審議は従来とは様変わりして、きわめて厳しいものとなることは必至である。診療側委員としては、相応の覚悟で臨まなければならない。

 

日経連・連合・健保連共同声明の要旨

 政府および与党3党は、平成10年度政府予算案の編成に当たり、老人医療費の国庫負担を被用者保険に転嫁する一方、2%を超える医療費の大幅な引き上げを決定した。この決定は、中医協、医療保険福祉協議会等の審議を無視し、正当な手続きを欠いた一方的なもので、医療制度および医療保険制度の抜本的改革を遅らせる、その場しのぎに他ならない。

 われわれ3団体は、老人医療負担の歪みをますます拡大することとなる被用者保険への負担転嫁を柱とする制度改悪および不当な医療費の引き上げに断固反対し、その撤回を強く求め、診療報酬体系改革をはじめ医療制度全体の抜本改革の実現に向けて、これまで以上の結束をもって行動していくことを表明する。

 


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