日医ニュース 第874号(平成10年2月5日)

組合による医療機関の推薦制

地区医師会断固拒否、撤回させる


 福岡県久留米市にあるブリジストン健康保険組合(以下、単に組合と呼ぶ)が「推薦医制度」を設け、被保険者に対し、「できるだけ組合の推薦する医師(推薦医)で受診するよう」奨励しているとの情報が明らかになった。

 当地である福岡県筑後ブロック医師会では、直ちに、下記のような「会長会申し合わせ事項」を作成、県医師会の協力を要請した。

 

申し合わせ事項

 1)今回の組合の推薦医制度について、筑後ブロック医師会は明確に反対の意思を表明する。2)各医師会長は、「推薦医」から辞退届けを求めることに努め、取りまとめた辞退届の取り扱いは、福岡県医師会長に一任する。3)組合に対する抗議文は、福岡県医師会において作成され、かつ措置されるよう要望する。

 要請を受けた福岡県医師会では、関原敬次郎会長が組合の幹部と面談し、「推薦医制」を直ちに中止するよう、組合の理事長宛に文書で申し入れた。

 

申し入れ書

 今般、貴組合から筑後地区の一部医療機関を「推薦医」として指定し、貴組合員に対し、受診する場合は「推薦医」を利用するように指導しておられることにつき報告を受けました。

 福岡県医師会といたしましては、このような行動は被保険者と医療機関の信頼関係を根底から破壊するものであり、「いつでも」「どこでも」「誰もが」安心してかかれる「かかりつけ医」を中心とした地域医療を阻害するものであるとともに、健康保険法の精神である患者の受診の権利、選択の自由を奪うものと判断し、ここに厳重に抗議を申し入れます。

 また、医療機関や、地域医師会の同意がない推薦を行われましたことは、はなはだ遺憾であり、「推薦医リスト」の撤回を要望いたします。


 福岡県医師会の「申し入れ書」に対し、組合からは、「制度を中止し、地域医師会の行っている『かかりつけ医』モデル事業に協力する」旨の回答があった。

 診療報酬制度などをめぐって、医療側と支払側との意見が対立しつつある今日、今後とも同様な計画が実施される可能性は否定できない。各県、郡市区医師会においても十分な情報収集を行い、すみやかに対処されるようお願いしたい。


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