日医ニュース 第881号(平成10年5月20日)

日本医師会役員就任披露パーティー開催

坪井会長 己を律し、国民の信頼を勝ち得る


 4月1日の第98回日医定例代議員会において選出された、坪井栄孝会長をはじめとする新役員の就任披露パーティーが、4月28日、日医会館小講堂で開催された。当日は、政界・官界・関係団体等各界から約500名の出席があり、新執行部は、祝福と激励を受けた。

 

 当日は、坪井栄孝会長はじめ新役員一同が、立礼をもって招待者を出迎えた。

 午後3時、糸氏英吉副会長の開会のあいさつによってパーティーは開始され、まず、坪井会長が登壇し、次のようにあいさつした。

 「今般の役員改選にあたり、全国すべての都道府県医師会の推薦を受け、投票することなく再選させていただき、たいへん光栄であり、それと同時に大きな責任を感じている。

 これから2年間、会務を担当させていただくわけであるが、2年間の会期が長いか短いかということではなく、その間に何を行ったかが問われる問題であると自覚している。前期2年間で必ずしも満足すべき成果を上げ得なかった課題について、さらに努力をせよとのご叱正の意味もあると、今回のこの推挙を受け取っている。

 私は、医師がしっかりとした医療を提供していくためには、われわれ自身が襟を正し、国民の信頼を勝ち得ることだと考える。それとともに、われわれがプロフェッショナルとして、絶対的な自信をもって国民に医療を提供するということに万全を尽くし、研鑽に務めるということが、国民の付託に応える一番の近道である。

 4月1日の代議員会での所信表明のなかでも、今後、倫理の高揚と学術団体としての生涯教育に最重点を置くという話をしたが、国民サイドに立った医療が基盤となってはじめて、われわれの医業経営の安定化というものが必然的に図られてくるものである。片手に学問を、片手に医政をかざし、全身全霊を注いでいきたいと考えている。

 今後とも、ご支援を賜りますことをお願い申しあげてあいさつとしたい」。

 その後、坪井会長以下の新役員全員が登壇し、司会者が一人ずつ紹介を行った。つづいて、都道府県医師会長を代表して、佐々木健雄東京都医師会長が、「第2次坪井執行部の誕生は、このきびしい医療環境のなかで、ぜひがんばってほしいという日医会員の大きな声の集まりである。これからも、獅子奮迅の動きをしてくれることを期待してやまない」と激励のことばを贈った。

 

橋本総理、「医療の最前線でのさらなる活躍を」

 次に来賓あいさつでは、橋本龍太郎内閣総理大臣(古川貞二郎官房副長官代読)が、次のような祝福のことばを寄せた。

 「社団法人日本医師会役員改選による新しい執行部のご披露の会が、盛会の裡に開催されますことを、心からお慶び申し上げます。

 本日ご参会の先生方には、日頃より、全人的医療を標榜し、医道の高揚に、医学・医術の発達に、公衆衛生の向上にと、ご尽瘁賜り、もって国民の健康を確保し、ひいては社会福祉の増進に、大きなお力を発揮されておりますことに対し、心からの謝意と深い敬意を表するものであります。

 先生方には、また、人口の高齢化・少子化がいよいよ進むなか、医療の最前線にあって、少ししか産まれてこない子どもをいかに大切に成長させるか、そして、長寿社会において、心身ともに健康であることを願って、日常生活・生活習慣がどのようにあれば、さらに健康で長生きできるのかを、常に念頭に置きながらご奨励いただいております。加えて、国際医療協力活動や地球規模での環境保全問題などにも取り組まれており、それぞれの分野で大きな実績を挙げておられることは、ご同慶の至りであり、将来に向けても大きな期待を託したいと存じます。

 坪井会長を中心に、今後とも貴医師会がますますご発展あらんことを、そして、役員・会員諸先生のいっそうのご健勝と、さらなるご活躍を祈念申し上げまして、お祝いのごあいさつといたします」。

 三師会を代表して、中原爽日本歯科医師会長の祝辞のあと、小泉純一郎厚生大臣(山口剛彦厚生事務次官代読)のあいさつがあり、大要次のように述べた。

 

小泉厚相が、厚生行政への支援を訴える

 「わが国は、現在、経済や行政等様々な分野で構造的な改革が求められるなど、大きな転換点に立っている。厚生行政においても、良質で効率的な医療を提供する体制を実現するなど、社会保障制度の構造改革を進めていく予定である。

 また、今般の財政構造改革法の見直しに当たっては、社会保障関係費について、平成11年度にかぎって歳出上限枠を外す特例措置を盛り込むこととしたが、将来にわたって揺るぎない社会保障制度を確立するためには、医療保険制度および医療提供体制の両面にわたる抜本的改革が必要であると考えている。

 今後、医学医療を基盤とした専門的立場から、より良い医療のための政策を提言され、わが国医療の向上のために重責を果たされるとともに、厚生行政へのいっそうのご支援とご協力をお願いしたい」。

 ここで、林幹三日医代議員会議長の音頭で祝杯があげられた。

 その後、国政の関係で遅れていた国会議員が続々と到着し、それぞれ祝辞と激励のスピーチを行った。会場は立錐の余地もないほどの盛況で、会場内に歓談の輪ができ、新執行部と出席者との間の友好が深まった。

 午後5時20分、小泉明副会長が出席者に対し謝辞を述べ、さらなる協力を要請して閉会を宣言、パーティーは盛会裏に終了した。 

 


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